第164話 フィンランド行くより近くて安い

先日、原宿のライブハウスで、LOUD & METAL MANIA 2016 というイベントがあった。

これは、北欧のメタルバンドを呼んでフェスをしよう、という主旨のイベントだ。

そのイベントに、3年前に行われた同じ主旨のイベント LOUD & METAL ATTACK 2013 で初来日し、そのときはノーチェックだったのだけど、初めてのライブが楽しくて熱くてどハマりしたバンド、MOKOMA(フィンランド)が来ると言うので、一般チケット発売日当日にコンビニに走り、チケットを買ってきた。

因みにその年の日本国内最大級のメタルフェス、LOUD PARK でも2度目の来日を果たし、そのライブもとても楽しく熱かった思い出がある。


3度目の来日は、この原宿のイベントと、大阪でのワンマンライブ。

関東に住んでいるので、平日の大阪にライブのためだけに出かけるにはいろいろと覚悟が足らず、原宿のみで我慢したのだが、後から聞くに大阪も大変盛り上がったようで、行けなかったのが残念でならない。


とはいえ、原宿も難関だった。

ライブハウスの場所は知っていたのだが、原宿駅からどう歩いても人混みを避けて通ることが出来ない立地に、1人で行ける自信がなかったので、2人の友人を誘い、ついてきて貰ったと言うか連れて行って貰ったと言うか。


突然だが俺は地図が読めない。

道も覚えられない。

その400人規模のライブハウスには何回か行ったことがあるので覚えていたが、知っている道を通らないと迷子になる。

しかも、目印は「右斜め上にあるオレンジ色の看板」だ。


現地に着くまでの避けられない人混みでは、友人の1人にしがみつき、下を向いて歩いていた。

人混み抜けたよと言われて右斜め上を見たら、かつてはあった看板が、なくなっていた。


「ゴメン、看板がないから判んない。あの辺りなんだけど・・・。」


果たして、「あの辺り」は大体あっていたのだが、2人の友人にも下調べしておいて貰えて良かった。


そんなこんなで着いたのだが、下を向いて人混みを歩いているときは、とにかく足を動かすだけでも必死だったし、しがみ付いていた腕にも力が入っていたかも知れない。

それでも、そのイベントに来るために遠征する誰かの呟き(ツイッター)が拡散されて流れてきた「フィンランド行くより近くて安い」と言う言霊力の強いキャッチコピーに支えられて、頑張れた。

確かに原宿に来てくれているのなら、MOKOMAに会いに行くにも「フィンランド行くより近くて安い」


MOKOMAのライブは、今回もとても楽しかった。

ぶっちゃけ、MOKOMAは(見た目は)カッコいい・・・とは言い難い。

ヴォーカルも眼鏡のおっさんだ。

だが、そのおっさん(マルコ)が、可愛くて激しくてどこかダサくてカッコいいのだ。

お客さんを乗せる煽りもうまいので、初見の友人2人も楽しめたようだ、良かった。

2曲目でドラマーのヤンネがまさかのスネアを壊すなど、何やってんすかって言うハプニングもあったけど、機材の入れ替えの間の持たせ方も上手かったし、そういえば上手ギターのツォーモは来日直前に肩を脱臼、マルコも来日直前に風邪をひいたり等、けっして絶好調な体制ではなかったにも関わらず、とても素敵なパフォーマンスを魅せてくれた。


2人の友人が後ろの方で観ていると言ったから俺だけ前方に突撃したのだが、お客さんに押されて流され、結局センター2列目に陣取れたので、間近で彼らを観ることができたし、ライブを楽しみながらファンサービスも優しいマルコは、演奏中に客席に手を伸ばして、届く手は握手してくれたり(俺も届いたので握手して貰えた)客席にダイブしてきたりと、持ち時間の1時間弱を目いっぱい楽しませてくれた。

マルコがダイブしたとき、ダイレクトに左肩にぶつかってこられて痛かったしビックリして一瞬ひいてしまったのだけど、思いのほか深く沈んだから、俺がひいたらマルコが落ちる!(汗)と思って頑張って支えた。


また、フェスなので、他にも3バンドが出ていたのだが、そのうちの1つの、ノーチェックだった LANCER(スウェーデン) が、これまたカッコよく、音も声も聴きやすく、ライブも楽しく。

メンバーも気さくで一緒に写真撮ってくれたりもして、LANCER にも新たにハマった。

本当に、楽しい時間はあっという間だったけど、元気を貰えた。


MOKOMAにもLANCERにもまた会いたいから。

来日したら「フィンランド(スウェーデン)行くより近くて安い」をキャッチコピーに、また会いに行きたい。

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