第153話 久しぶりに大号泣

もう病み上がりだが、ここ数日間、相方が風邪でダウンしていた。


俺はもともと、気が利く人間ではないのだが、それにもまして気が利かなくなっており。

と言うか、看病の仕方を忘れていた。

普段から丈夫な相方は、結婚して10年の間に、寝込んだことが3回しかない。

今回と、以前にインフルエンザと、その前にも1回寝込んだことがあったが、それだけだ。


ただ、インフルエンザの時は、俺が病気になっていなかったので、看病も出来た・・・気がする。

気がする、と言うのは、今回寝込まれて、どうしていいか判らなくなり、以前どうやっていたかも思い出せず。

喋るのも辛い、と言う相方に、逐次指示を出してもらわないと動けなかった。


結果、この2年半相方が甲斐甲斐しくいろいろとやってくれているのに、ただ動揺するだけで何も出来ない自分が情けなくて悲しくて、相方の枕もとで泣き出した。


号泣していたら、相方に義母様に電話するよう指示された。

言われた通りに電話した。

義母様は優しく、「俺ちゃんのせいじゃないし、息子も大人だし、大丈夫だよ」と言ってくれたのだが、俺の涙は止まらず、義母様との電話の後、ヤンデレている友人に泣きついた。


もう夜も遅かったのだが、泣きつかれた友人は、たまたま近くにいるとのことで、わざわざ家に来てくれた。

コンビニで見繕った、お見舞いの品持って。

それはとてもありがたかったし、そういったものすら買えない自分が、やっぱり不甲斐なくてまた泣き出した。


「今出来なくても、これから出来るようになれば良いんだから。」


友人と相方に言われた。

「泣いているヒマなんか無いよ」とも。


友人は、今後同じように寝込まれたらどうしたらいいのかを教えてくれた。

簡単に言うと、清涼飲料水を飲ませること、食欲がなくてもゼリーくらいなら食べられるから、果物入りゼリーでビタミンの補給をすること、食欲が出てきたら鍋焼きうどんなどで体を温めて汗をかかせること、など。


「そんなこと」と思うかもしれないが、本当にそんなことすら出来なかった。

俺は回復してきている、と感じていた。

だが、まだ病人だった。

忘れていたわけではないが、今回、それをまざまざと見せつけられた。


それでも。

「今」出来なくても。

「これから」出来るようになれば良いのだ。

教えてもらったから、そして覚えたから、次は出来る。


勿論、健康で居てくれればそれに越したことはない。

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