第104話 リストカッターと吐き癖

今は訳あって縁を切っているが、昔の知人にリストカッターが居た。

しょっちゅう切っているものだから、両の手首は傷だらけだった。

彼女いはく、リストカットすることで、誰かが構ってくれる(こともあるから)何か安心感のようなものが得られるのだそうだ。

俺の身近でリストカットした人は彼女ともう1人しかいなくて、その1人とは残念ながら詳しい事情を訊ける関係ではないので、すべてのリストカッターがそうかは判らない。

(しかも彼女と違って切ったのは1回だけだし)


ところで、俺には吐き癖がある。

今日もターミナル駅の人混みにあてられ、吐いた。

俺の吐きっぷりも、昔の知人のリストカットに引けを取らないかもしれない。


そこで、ふと思った。

俺が吐くのは、彼女のリストカットと同じで、誰かが構ってくれる(こともあるから)何か安心感のようなものが得られる、と無意識に考えてる結果なのではないかと。


相方には「違うんじゃない?」と言われた。

そして、「違うことにしておけ」とも。


真相は判らない。

今度、お医者先生かカウンセラーさんに相談してみようと思っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る