第94話 今出来る限りの俺なりの工夫

本日、昼間にシャワーを浴びた後、投薬して、ドライヤーを使ってみた。

金曜日から日曜日まで、さまざまな用事をこなしてきたので、月曜日な今日は疲れもたまっているから、もしかしたら無理かもな、と思いながら、それでもやってみてダメだったら放り出せばいいからと、試すだけ試してみようと思ったのだ。


完全に乾かし切るまでには至らなかったが、だいぶ我慢できた。

半乾きくらいにはなったのではないだろうか。

全然使えなかったころに比べれば、はるかに進歩していた。

進歩と言うか、「多くの人には普通に出来ること」に、少し近付けたと言うか。


その流れから、第93話にあるように、線路沿いを歩くことに挑戦したのだが。


行った先のショッピングモールのフードコートでは、子供がはしゃいでいたり、泣いていたりして騒がしかった。

投薬した上でなお、ウォークマンを突破して聞こえてくるそれらのざわめきは我慢できることではなかったので、早々に静かなところに河岸を変えた。


この一連の流れが、自身の判断だけでスムーズにできたことを改めて考えてみると、間違いなく良くなってきているな、と思う。

以前なら、フードコートでしゃがみ込み、動けなくなって震えていただろう。

あるいはそのまま、泣きながらヤンデレている友人に電話を架けていたかもしれない。


第91話で、俺は俺自身の判断能力にまだ信頼をおいていない、と書いた。

事実、第93話で書いたように、線路沿いを歩くにしても、俺なりの工夫は、接触事故を起こしそうになる程度には詰めが甘い。

それでも、以前よりはマシになってきている。

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