第90話 自己判断で先走らないように
俺の今のカウンセラーさんが、このエッセイを読んでくれているのだが、本日カウンセリングに行ったときに、意外なことを言われた。
いはく。
「俺さんのエッセイ、勉強になります(意訳)」
学生さんではあるものの、カウンセリングの勉強をしている人から、そんなことを言われるとは思っていなかった。
そして、そう言われてみればと気付いたことがある。
俺は、うつ関係の指南書的な本やネット情報などを、今まで1度も読んだことがない。
世間一般に広まっている指南書はどんなものなのか、俄然興味が湧いたので、今なら読めるかも知れないと、本屋で「うつかも知れないと思ったら読む本(意訳)」と言った内容のタイトルのついた1冊を手に取った。
そしてぱらぱらと数ページめくって、非常にもやもやしたので、本棚に戻した。
うつの自己診断チェックシートなどがついたその本は、冒頭から数ページ読んだだけで、軽くうつかもと思った人が読んだら、一気にテンションが下がって本当に自分はうつだ(確信)と思い込んでしまうんじゃないかと心配になる内容だった。
また、重いうつの人は、その本を手に取る余裕はないだろうと同時に思った。
つまり、俺が数ページを読んだ感想としては、その本が、どの層をターゲットに書いているのか、さっぱり判らなかったのだ。
うつと無関係の人はまず手に取らないであろうタイトル。
うつっぽい人が読んだら、ほとんどの人の不安を煽るのではないかと思える冒頭。
絶賛うつ病患者の俺が読んだら、これじゃない感が半端なくて、数ページでお腹いっぱいになってしまう文字列。
相方は読んでいないので、うつ病患者を家族に持つ人が読んだらどんな反応を示すのかまでは判らなかったが。
これが一般的な指南書であるならば、なるほど確かに「生の声」とはほど遠いな、と思った。
また、この本は同時に非常に危険だとも思った。
うつと診断されていない人が、自分はうつだと自己暗示にかかってしまいそうな冒頭だったからだ。
読んでないから判らないが、おそらく、あーだこーだ書いた後で、「心配だったらお医者に行ってね(意訳)」で締めくくられているのではないかと思う。
うつかどうか、自己判断するのはやめた方が良い。
うつかも知れない、と思ったのなら、素直にお医者先生にかかったほうが良い。
かかったお医者が信頼できなければ、信頼できるお医者先生に出会えるまで、しんどいかも知れないがお医者難民になるほうが指南書に頼って自己判断するより多分数倍はマシだ。
少なくとも俺が、2度目で信頼できるお医者先生に出会え、カウンセリングもゆったり(それでもあっと言う間だが)1時間取れる環境に居るのは、とても幸運なことなのだろうと思う。
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