第84話 同じ「声」でも

先日、それなりの1部屋に64人が集まるというイベントに参加した。

年齢も性別も関係なく、単純に同じ趣味で集まった人たちだ。

勿論初対面の人も居る。


そのイベントは、平たく言うとコミュニケーションを主体とするゲームをする集まりで、そのゲームには大体6~7時間を要する。

コミュニケーションが主体となるため、会話が発生するので、当然会場内はわいわいがやがやしている。

それでも、自分に必要な会話に対して、聴覚からの情報収集に集中する必要があるのと、ある程度の区画はパーテーションで区切られていたためか、他者さんたちの会話におけるざわめきはそれほど気にならなかった。


実は今の俺が聴覚からの情報収集にそこまでの長時間を集中できるのは、そのゲーム以外にはない。

ウォークマンで音楽を聴いているときは、そこまで聴覚情報を意識しないし、友人とお茶なりご飯なりをする場合はもっと静かな場所を選ぶからだ。


それでも、集中力が切れてからは、そうもいかない。

ゲームの後に懇親会があって、相方も一緒に参加したのだが、そのときの他者さんたちの会話は一種の耳障りに近い雑音的なざわめきだったし、ゲーム中は気にならなかった甲高い笑い声なども怖い音に早変わりした。

そんなのもあって、せっかくの懇親会では、あまり積極的に他者さんと交わることができなかったのが残念だ。


人混みそのものは、怖くはなかった。

部屋の人口密度としては、電車内、あるいはバス内で俺が我慢できる許容範囲と比較すれば、それを超えているか同等くらいだったのだが、これはおそらく、ライブ会場のすし詰め状態が怖くないのと一緒だろう。


とはいえ、ゲームは楽しかったし、懇親会も今楽しめる範囲では楽しめた。

一部の初対面の人も交流を持てたし、顔見知りの人たちにも挨拶くらいはできた。

多分、今はそれで精一杯なのだろう、帰ってからはぐったりしていたが、ゲームのイベントも懇親会も、参加して良かったと思っている。

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