第49話 相方の工夫

48話にちょっと引き続く話になる。


このエッセイの中で、何度か「俺がヤンデレている友人」が出てきている。

今でこそ、その回数は減ったのだが、そしてそれをその友人は喜ばしいことだと言ってくれているのだが、当初は酷かった。

何かあるたびに、泣きながら電話していた。


横でそれを見ていた相方は、それをどんな気持ちで見守っていたのか。


「情けない男だなぁ僕は。」


相方に、そこまで言わせてしまったこともある。

それでも、決して彼に電話をするなとは言わなかった。

むしろ、泣いている俺を車に乗せて、わざわざ彼に会わせてくれたこともある。

友人も相方も、よく辛抱強く付き合ってくれているものだ。

・・・今でもたまに電話はしているのだが、パニックになったときとか。


泣きつくたびに、その友人に言われていた言葉がある。


「今何が見える?見えているものは怖いかい?」


大抵パニック起こして泣いてるときは家の中に居ることが多いので、見えるものの中に怖いものは基本的にない。

(見たくないものは外の景色がほとんどなので、カーテンを閉めてしまえばそれで済む)


その問いかけは、少しずつではあるが、俺を落ち着かせる魔法の言葉だった。


相方は、それをそのまま使うようになった。

俺がパニックを起こしているとき、「今何が見える?見えているものは怖いかい?」

いささか強引なときもある、頭を抱えて下向いて号泣しているときに、無理やり頭を上げるのはそれはそれでとても大変だからだ。


それでも、その魔法の言葉は俺に届く。

そして、時間はかかるが、落ち着くことが出来る。


それから、俺が友人に電話する回数は減った。

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