第34話 判ってはいても世間の目が痛い

今朝は6時過ぎから10kmばかり散歩してきた。

散歩先で映画観て、のんびりしてからバスで徒歩圏内まで(約4kmくらい)戻り。


意を決して、電車に乗ってみた。

乗れた、が、吐いた。

その後、帰路の途中で40分くらい休憩していた。

たった1駅でそれなので、時間で換算するなら、歩いても大して変わらなかったことになる。(なんだかんだと帰宅するまで1時間くらいかかったし)


マンションのエレベーターで、隣の住人と一緒になった。

お隣さんは、多分悪い人ではないのだが、世話焼きと言うか、おせっかいと言うか。

なので、あまり得意ではない。

そんな隣人に、声をかけられた。


「今お仕事してないの?」


大きなお世話だ。


って言いそうになったが、喧嘩したいわけじゃないので、こらえた。

なので、「今ちょっと休職中なんですよー」と答えておいた。

会話はそれだけだったのだが、帰宅してから、泣いた。


多分、隣人にしてみたら、俺は「働いていて当たり前」の人間で。

おそらく定年退職したと思われる隣人と同じエレベーターに乗っているのはおかしいのだろう。


普段なら、と言うか、多分電車に乗っていなければ。

煩い黙れこんちくしょうとは思っても、泣くほどのエピソードではなかったと思う。

タイミングが悪かったのだ。

たった1駅分でも、電車に乗ったことで体力と気力をごそっと削られ、そんなタイミングで、触れてほしくないトコロに切り込んでこられたから。


多分隣人には悪気はない。

そして、俺のひきつった愛想笑いを、どう解釈したかは判らない。

ただ、俺は触れてほしくなかったし、相手にはそれが判らなかった。

それだけの、不幸な事故だ。

それでも、泣くくらいには、俺は今、弱っているのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る