第21話 相方の職場で

相方の職場に、うつ病になって休職中の同僚さんがいるそうだ。

病気になった経緯等は詳しく知らない。

相方もだ。


一時期復帰したそうだが、復帰後もミス等があり、結局再度休職中になったそうだ。

会社側からの説明は、特になかったらしい。


俺は18話で、カミングアウトした方がいい、と書いた。

これは単純に、「うつ病になりました。」と伝えればいい、と言うわけじゃない。

うつ病になった結果、どうなったのか。

具体的に、何が出来なくなって、どれだけ思考が定まらないのか、そんな自分に対して、何をしてほしいのか、それを伝えなければ、他人には判らない。

会社側は、あくまで「○○さんはうつ病になりました」とだけ伝えたのだそうだ。

それでは、意味がない。


相方には先人の俺が居た。

だから、うつ病のその人への接し方も、多分それなりに上手にこなしたんだと思う。

だが、知らない人はどうだろうか。

単純に、「うつ病になりました」とだけ言われても、じゃあどうしたら良いの?が判らないではないか。

それではダメなのだ。


俺が思った通り、会社内にはいろんな人が居て、持て余し気味だったり、腫物に触るような接し方になったりした人も居たそうだ。


ヒトコトで「うつ病」と言っても、発症状態は本当に千差万別だ。

罹患した人に合った接し方、話し方をしないとダメだし、罹患した人も具体的に、今の現状と、だからこそどうして欲しいのかを伝えなければ、察することなんて誰にも出来ない。


その人が、再度職場に復帰してくるのかどうか、判らないが。

会社側の説明も、本人からの説明も、全然足りない。

それでは、折角のカミングアウトも無駄になるし、お互いが不幸だ。


その話を聞いて、俺は少し、悲しくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る