第9話 いろいろ試してみる
音楽が再び聴けるようになったことで、相変わらず電車は怖いし、本も読めないけれど、他にも出来なくなったことがあるんじゃないかと思って、その洗い出しをするために、体当たりな実験を片っ端からやってみた時期がありました。
結果。
鬱になった経緯を聞かれると不安になることが判った、とか。
電車は乗れないけどバスは乗れるとか。
妙に歩くのが遅くなったとか。
判断力が落ち、曖昧なことを言われるとさっぱり理解できないとか。
特に4つ目は如実でした。
あるとき、相方に話しかけたら「ちょっと黙ってて」と言われたので、黙ったんだけど。
いつまで黙っていたら良いのかが判らず、だけどどうしても話したい案件があったため、暫くしてから恐る恐る「話しかけても良い?」と聞いたら、「良いよ、何でそんなこと訊くの?」と逆に返され。
え、だってさっき黙ってろって言ったじゃん??え??あれ???みたいな。
あとは、予定が立てられない。自分で何も決められない。
もともと予定を立ててどーこーするタイプではなかったんだけど、明日何をしたらいいかさっぱり思いつかないので、「何したら良いと思う?」と毎日いちいち聞く生活。
相方は辛抱強く答えてくれていたなぁと、今でこそしみじみ思うけど、当時はそんな余裕はなかったから、言われたことをやるだけの日々。
これは、無気力とは違う。
ただ、判断ができないだけ。
と言うか。
実際、無気力だった時期もあったと思う。
その当時のことは、あんまり覚えていないのだけど。
ただ、同じ「自分では何も出来ない」でも、その意味合いは全然違うのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます