3-12 ラティクスの死闘 Ⅱ



 ――――我々エルフにとって、世界樹は謂わば現存する神のような存在である。




 その根拠となるのが、この世界を創り給うた神の一柱により生み出された生命の樹であるという伝承通り、世界樹からは多くの精霊が現世へと生まれ、姿を見せるからだ。


 故に、不滅でなくてはならない。


 我らエルフの国ラティクスは、世界樹を護る事にこそ意義があり、価値があるのだ。世界樹を穢すような輩を国に入れる事はもちろん、世界樹に害を成す者がいるのならば、まず間違いなく我々の怨敵である。




 例え――薄汚い魔族と手を組む事になろうとも、我らは世界樹を護るのだ。





 私――オルトネラ――が魔族と邂逅を果たしたのは、今から三年程前の事。


 当時よりラティクスは魔族との忌まわしき戦いが続いており、世界樹を護る我らは攻めて来る魔族と幾度となく槍の矛先を交え、血で血を洗う戦を繰り広げてきた。

 苛烈なまでの戦いは時に大森林の深部にまで及んだ事もあったが、当時の戦いは魔族側の本格的な動きもなかったためか、あくまでも浅い位置で押し返せていたように思う。


 だが、それはあくまでも魔族側が本腰を入れていないからに過ぎなかった。


 忌まわしき蛇女のエキドナと、魔王直属の配下である〈十魔将〉の一角を担うエイギルがやってきただけで、我々エルフはあっさりと深部に追いやられた。激しい戦い、と言えば聞こえは良いが、その実は一方的なものであった。


 その際に深い傷を負った私は、エキドナの気まぐれによって生かされたのだ。


「――殺せッ!」

「ンフフ、そんな事を口にしていいのかしらねぇ?」

「構うものか! 貴様ら魔族に屈するぐらいならば、死んだ方がいっそマシだ!」


 すでに身体には十分な力が入らなかった。

 血を失った身体は熱を失い、明確な死の気配が歩み寄ってきているのを肌で感じていた私は、目の前で妖艶な笑みを浮かべて見下ろしてくるエキドナを睨みつけ、せめて最期まで心を折るまいと必死に声をあげていた。


「じゃあ、選ぶといいわ。このままあなたが言う死を選ぶのか、それとも私達の侵攻を止めた英雄となるのか」

「な、何を……」

「約束してあげるわ。もしあなたが取引に応じてくれるなら、私達は世界樹から手を引いてあげる」

「ど、どういうことだ……!? 一体何を企んでいる……!」


 世界樹から手を引く。

 聞く耳など持つつもりなどなかったが、その言葉は私の中にあった死への覚悟を揺るがすにはあまりにも十分過ぎる程に甘美な提案であった。


「〈星詠み〉がね、面白い事を言っているのよ」

「……〈星詠み〉……。実在していると言うのか……?」

「えぇ、あのおかしな連中は確かに実在しているわよ」

 

 魔族には〈星詠み〉と呼ばれる〈オリジナルスキル〉を持つ者がいる。

 世界の動きを読み、未来を見通す一族。過去にヒューマンらによって淘汰され、その後は魔族に身を堕とした血塗られた種族として知られる者達だった。


「どうもあの子達が言うには、私達が世界樹をらしいのよね。もっとも、今はって注釈がつくけれどね」

「利用、だと……? 貴様ら一体、何を企んでいるのだ……!」

「まぁ聞きなさいな。――数年後、この大陸のどこかで異世界から勇者と呼ばれる連中が姿を見せるそうよ」


 異世界の勇者。

 ラティクスを建国した際にアリージア様と友誼を交わしたとされている、リュート・ナツメの話は私も知っている。かつて魔族を絶滅の危機にまで追いやり、当時の魔王を討伐したという英雄だ。


 ――しかし、何故だ。

 勇者と言えば、魔族にとってみれば不倶戴天の敵であったはずだ。

 そんな存在が再び現れるというのに、一体何故こんなにも悠長に構えていられるというのだ。


 浮かんだ疑問を整理する間もなく、エキドナは再び口を開いた。


「そこで……ねぇ、エルフ。あなた達が生命よりも大事にしている世界樹を守りたいとは思わない? もしそう思うのなら、あなた達は私が提案するゲームに参加した方がいいと思うのだけど」

「ゲーム、だと?」

「そう、ゲームよ。もし参加するなら、今すぐにでも私達は世界樹から手を引くわ」


 ――「ただし」と付け加えて、エキドナは愉しげに笑みを深めた。


「もしも〈星詠み〉の予言通りに勇者が現れたのなら、私達の配下になりなさいな」

「な――ッ!?」

「慌てないの。〈星詠み〉が言うには、「異世界の勇者こそが世界樹に異変を齎す存在」らしいのよね。そんな相手を放っておいてもいいのかしら?」


 ――異世界からやってくる勇者が、わざわざ世界樹に災いを齎すだと?

 曲がりなりにも勇者と呼ばれる存在が、神が与えた世界樹に害を成すなど、本気でそう思っているというのか?


 一笑に付してくれようかとも思ったが、ふと閃いた。

 今のままでは我々は世界樹を護る事すらできず、根絶やしにされかねない。

 もしも勇者がやってくるというのなら、その時まで魔族と取引に応じたフリをしながら、勇者と手を組んでしまえばいいのではないか、と。


 だが、さすがにそんな発想に気付かないほど、エキドナも愚かではなかったようだ。


「もしも勇者と手を結んで、その時に反旗を翻そうっていうなら、それならそれで構わないわ。――でも、果たしてあなた達にそれができるかしら?」

「……どういう、意味だ……」

「フフフッ、まだ気付かないの? 〈星詠み〉の言葉を信じるのなら、あなた達にとって勇者は、世界樹を枯らせる存在になりかねない――つまりは敵そのものではないかしら? そんな相手と手を組むつもり?」


 ――よおく考えた方がいいわ、とエキドナは続けた。


「〈星詠み〉の予言を信じる必要があるかどうかなんて、勇者が召喚されてから決めてもいいのよ? 私達はあなたが約束さえ守ってくれるなら、世界樹からは手を引く。けれど、このまま抵抗するっていうのなら、世界樹はともかく、あなたの大事な国を壊して勇者を待てばいいだけ。この状況でどっちに転んでも、私達にとってそう差はないのよね」

「……フン、生憎だったな。ラティクスを護るアーティファクトがある限り、貴様らに我らエルフを滅ぼせるはずがなかろう」

「あら、それはどうかしら? いくら強固な結界でも、ずっと攻撃を加えていれば危険なのは分かっているでしょ? じゃなきゃ、わざわざこうして結界の外にまであなた達が出てくる必要なんてないんじゃないかしら?」


 痛い所を突かれた。

 ラティクスを護る結界――〈エスティオの結界〉は、防御力よりも国と世界樹そのものを外界から隠す隠蔽力にも長けている。裏を返せば、防御力などあくまでも二の次であると言えなくもない。

 強靭な肉体を持ち、強力な魔法を操る魔族の総攻撃を喰らおうものなら、いくらアーティファクトである〈エスティオの結界〉とて、無事とはいかないだろう。だからこそ、我々戦士が外へと出て迎撃に当たっているのだから。


「でも、私達は世界樹を枯らせるつもりなんてないのよ。ただちょっと、ほんの少し利用させるつもりなだけ。勇者と魔族私達、どちらにつく方が賢明かぐらい、判るわよね?」


 魔族に対して思う所は確かにあるが、元より我々はラティクスと世界樹を護る者。勇者であろうが魔族であろうが、世界樹に仇なす者こそが敵であるという事に、変わりはない。

 だが、ラティクスの始まりは勇者リュートによって助力され、初めて形となったと伝え聞いている。ここで私が魔族と手を組むことは、勇者リュートの意志に反するのではないかと思わなかったわけではない。


 そんな私の葛藤を、恐らくエキドナは見抜いていたのだろう。


「そう心配する必要ないわ。いくら異世界からやってきた勇者だからって、勇者リュートの崇高な意志を引き継いでいるとは限らない。〈星詠み〉が言う通り世界樹を枯らせるような存在を相手に、義理を通す必要なんてないでしょう?」


 妖しく光る金色の双眸に見つめられて――私は、その提案を呑んだ。


 エキドナからの提案を呑んだその後、私は意識を失った――ように思う。気が付けばラティクスに戻っていた。混濁した意識を繋ぎ止めつつ周りの部下から聞いた話によれば、私は三日前に戻ってきて魔族を追い払ったと報告し、この三日間は傷の回復のために休んでいたと言うではないか。

 部下から話を聞いた私は、まるで夢を思い出すかのように断片的な記憶を取り戻した。そうだ、私は自らの手によって、アーティファクトにエキドナの指示通り「印」をつけた。


 私の持つ〈オリジナルスキル〉は【侵食】。

 治癒を蝕むこの力は【呪】と呼ばれる系統の一つであり、危険な力だ。もっとも、私の場合はこの【侵食】を使って正の方向と負の方向、どちらの方向にも働きかけることができる。


 これを利用して、アーティファクトを

 魔族は我々よりも魔法陣を流用しているアーティファクトや魔法に詳しい。そんな奴らが提案してきたのだ、


 私は世界樹とラティクスを護る。

 その為に、害となるであろう勇者を屠ると心に誓い、契約を交わしたのだ。




 そして三年が過ぎた頃、ファルム王国とやらで勇者が現れた。




 魔族が齎した〈星詠み〉の予言は正しかったのだ。

 世界樹に害を成す憎むべき敵は、確かに〈星詠み〉の予言通りに姿を現した。


 この国へとやって来ると聞いた時は即座に射抜いて殺してやろうかとも考えていたが、しかし魔族の協力者が私を止めた。

 勇者を斃すという意味で我々は同じ目標の下で協力している。とは言え、わざわざ命令を聞いてやるつもりなどなかったのだが――しかし、あのエイギルが油断するなと言う以上、軽率な行動は控えるべきだ。




 ――――魔族側の準備が整うまで、私は待ち続けた。









 ◆ ◆ ◆









「――わざわざ待ってくれるなんて、なかなか親切ですね」


 リティさんが走り去った先を見送った後、僕は深い森へと振り返る。

 僕の声を聞いて姿を現したのは、僕らがこのラティクスへとやって来たばかりの時以来顔を合わせる相手――警備隊の隊長、オルトネラさんだった。

 整った顔には似つかわしくない、血走った目と荒々しい息遣いで、オルトネラさんは今にも襲いかかろうとする獣に見紛う程に、常軌を逸しているように見える。


『強い洗脳がかかってるよ!』


 ミミルが浮かべたログウィンドウを見て、「だろうね」と短く答える。

 僕も洗脳されかけた事があるし、【スルー】がなかったらあんな風になっていたりしたのかな。


「ミミル、洗脳されたからってあそこまで形相が変わるものなの? だとしたら、洗脳されてるってすぐ分かりそうなものだけど」

『多分だけど、洗脳されて長いんだと思うの。洗脳状態だと、現実と洗脳によって齎される正当性が乖離し過ぎると精神が壊れちゃうから、普通は術者が頻繁に情報を更新してあげるんだよー。そうすればあんな風になったりもしないんだけれど……』

「放置されてるってこと、なのかな。この数日、全く顔を合わせなかったのは、彼自身、僕を避けていたのかもしれないね」


 初めてアリージアさんと会った時、オルトネラさんの表情は決して裏があるようには思えなかった。、彼からは明確な殺意のようなものを向けられているような気がしてならなかった。

 エルフ特有の排他的な空気がそれを醸し出しているのかと思って一切気にしていなかったけれど、どうにもオルトネラさん以外からはそれを感じられなかった。

 仮にエルフ全体にそういう空気が少しでもあったとしたら、リティさんはともかく、アリージアさんやルシェルティカさんがそれとなく助言してくれるはず。


 極めつけは、リティさんが零した愚痴。

 ――「途中でオルトネラさんだけ森の浅い所まで見回りに行っちゃって」というフレーズだった。


 魔物が多くなってしまったらしい結界の外にありながら、奥地の偵察だけは仲間を置いて自分一人で行く。確かにおかしな事とは思えないけれど、隊長という立場にありながら戦い慣れていない部下を放置するように単独行動するなんて、怪しすぎる。


 だからそれとなく探りを入れていたんだけれど、ルシェルティカさんとアリージアさんは「それはないでしょう」と断言していた。

 今の状態と二人の証言、それにミミルの話を鑑みる限り、洗脳されて暴走したって考えるのが妥当、かな。


 ミミルが言う乖離状態が続いた事で、オルトネラさんは狂信者よろしくすぐにでも僕を殺したくてうずうずしてしまってしょうがなく、ずっと避けて隠し通してきた、と考えるのが一番納得のいく流れだ。


「世界樹に仇なす者、勇者ユウ。殺す、殺す殺すッ!」

「人違いじゃないですかね。世界樹に仇なすつもりなんてないですし」

「嘘、を、つくなああぁぁッ! き、貴様は、世界樹に害を齎す、存在! 〈星詠み〉は正しい!」

「〈星詠み〉……?」


 言葉から察するに、占星術とかそういうものを彷彿とさせる何かだ。

 占いか何かでも信じているのかな。


 ――まぁ、悠長に構えてる場合じゃない。


「占いを盲信するのは勝手ですけど、いずれにしても魔族に操られているっていうなら、間違いなくあなたは僕の敵です」

「あや、操られてなど、いないッ! 世界樹に、仇なす、者! 貴様は、生きている事すら烏滸がましい!」


 わーお、僕に対して憎しみメーター振り切ってるなぁ。

 あまり時間をかけたくないし、無力化して洗脳を解くぐらいはしないとしつこそうだなぁ……。


「狂信者めいたこと言われても反応に困るんで、ちゃちゃっと捕まっちゃくれませんかね? 正直、あなたは騙されてるだけの捨て駒みたいなものでしょうし、を相手にしなきゃいけない以上、あまり構ってる暇はないんで」

「き、貴様ああぁぁぁッ!」


 あそこまで青筋を立てているぐらいだから、挑発を繰り返したら文字通り血管が切れて無力化しないかな、とか思ってみたりもしてたんだけれども、そう簡単にはいかなかったらしい。


 オルトネラさんが弓を番え、矢を射る。

 一連の動作はずいぶんと洗練されているらしく、一切の淀みもない。

 以前までの僕なら、反応すらできずに慌てて逃げるのが限界だったかもしれない。


 ――けれど、今は違う。


 右眼の目の前にモノクルよろしくウィンドウを展開。

 ウィンドウの向こうでは弓を構えたオルトネラさんの身体の向きと鏃の向き、その狙いとなるであろう軌道の全てが計算され、映し出される。


 計算に基づいた通り、オルトネラさんが矢を放つ寸前、即座に左側へと半歩ズレてみせると、ただそれだけで射られた矢は虚空へと向かって突き進んで行った。


 驚愕に目を剥いたオルトネラさんを他所に、僕は小さく口角をあげた。


 このウィンドウ――〈精霊神の加護〉によって得た自由度のおかげで、身体能力で補える範囲のものなら十分に対処できると、確信できた。確かに、いざ実戦となると不安がなかったわけじゃないんだけれど――いける。

 あくまでも副産物でしかなかった〈精霊神の加護〉によるウィンドウの自由度だけれど、僕にとっては十分過ぎる程の恩恵だ。


「驚くのは、まだ早いよ」


 右手に嵌めたグローブに魔力を込めて、特殊転移陣を発動。右の手のひらの中に現れたのは、僕の特製魔石――魔宝石ジェムだ。


 赤い魔術石を投げつけ、今度は左手を地面に叩きつける。


「――起動」


 オルトネラさんの足元に転がる緋色の宝石が、地面を伝って僕の〈命令オーダー〉によって起動――刹那、眩い光を放って魔術石が激しく爆発した。

 その光景を見つめていたのか、視界の隅では『無双が始まる!』とプラカードよろしくログウィンドウを頭上に輝かせたミミルが、嬉しそうに飛び回る。


 これこそが――僕なりに密かに開発してきた戦闘方法だ。


 アーシャル様によって与えられた〈精霊神の加護〉によって、下級神へと格が上がった僕は、魔法そのものを使う事はできないけれど、魔力をある程度まで自由に扱えるようになった。僕自身の身体が精霊と同じような存在である事から、その使い方を教えてもらったのだ。


 もともと、僕の魔力はミミルに譲渡するぐらいしかまともな使い道はなかったけれど、僕は魔導具を作る事ができる。それこそ、今オルトネラさんを呑み込んだ爆発も、その一つだ。これを任意のタイミングで、遠距離での発動を可能にするための秘策として、「戦闘用の服を魔導具化する」という無茶な方法を取る事にしているのである。

 右手のグローブには、『冒険者カード』と『冒険者の腕輪』から転送と召喚の術式を解析し、転写。攻撃系の魔宝石と名付けた魔導具を召喚する役割を与えてある。これには指を折り曲げる事で召喚対象を指定して、武器を召喚するというギミックを完成させたりと、なかなか大変だったけれどね。

 そして左のグローブには、僕の魔力を放出させ伝達させる魔法陣が刻まれている。オルトネラさんの足元に転がった魔法石が爆発したのは、僕の魔力が起爆剤の役目を果たしたと言えば分かり易いだろう。


 その他にもあちこちに仕掛けを施した戦闘服。

 試験では運用していたけれど、こうして実戦で使う事も決して難しくはなさそうだ。まだ僕には奥の手――〈精霊神の加護〉によって与えられた本命――が用意されているけれど、それは本命である魔族との戦いまで使うつもりはない。


 もうもうと立ち込める煙の中、突然の正体不明な攻撃に目を白黒させたオルトネラさんが傷つきながらも耐えてみせ、唖然とする中。僕はようやく異世界ファンタジーよろしく戦えるのかという、なんとも言い難い昂揚感を味わいながらも、万感の思いを込めて――言い放つ。


「戦えない勇者、なんていう汚名はもう僕にはないんだ。甘く見てると、怪我するよ?」


 ――レベルは永遠に一のままかもしれないけれど、今の僕はエキドナを相手にしたってそれなり以上に渡り合える程度には、自信があるからね。


「く……ッ、おのれぇ! おのれおのれおのれッ!」


 オルトネラさんも僕との中距離での戦闘は厄介だと判断したのか、即座に弓を投げ捨て、背負っていた槍を引き抜いて肉薄してきた。




 ――うーん、なんていうか……。




「いくら戦う手段を手に入れたからって、僕はもともと真正面から戦うなんて柄じゃないんだよね――」


 トン、と左足の爪先を地面へと叩きつける。

 その瞬間、まっすぐ肉薄してきたオルトネラさんの足元に煌々と輝く魔法陣が浮かび上がり――直接突っ込んできたオルトネラさんは迂回できず、魔法陣の光に捕らわれた。

 光の鞭がうねり、オルトネラさんの肉体を触手のように絡め取っていく。


「な、なんだ、これは――ッ!」

「そこ、対エルフ用の【敵対者に課す呪縛】が仕掛けられてるんだよね。というか、敵に襲われる可能性があるっていうのに、何も仕込んでないと思ったのかな?」


 光に捕らわれたオルトネラさんに向かってそう言い放つ僕に、ミミルがすごく嬉しそうにログウィンドウを見せてきた。


 ――『さすが宿主様マスター、えげつないね!』。


 僕にしてはすごくスマートかつカッコイイ勝ちっぷりなはずなのに、どうしてそう評価されるんだろうか。

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