2-5 精霊ミミル

「――ユウ様、朝ですよ」


 優しく揺すりながら、囁くように声をかけてくるエルナさんの声。

 瞼を閉じたまま「そんなに優しく揺らして囁くような声じゃ、むしろ眠くなるような気がするなぁ」と場違いな感想を寝ぼけた頭で考えつつ、ゆっくりと意識を覚醒させながら身体を起こした。


 うあー、頭が重いー……。

 ちょっと夜更かしが過ぎたかもしれないなぁ……。


「おはようございます……」

「ふふふ、おはようございます」


 何やら楽しげな声で挨拶をしてきたエルナさんの声に、今更ながらに頭に浮かぶ疑問符。


「……あれ? エルナさん、なんで僕の部屋に?」


 ここ最近エルナさんは『勇者班』と行動していたため、僕を起こしに来るような時間もなかったはずだ。

 わざわざ起こしてくるなんて、まさかとてつもない寝坊をしたのかとも思ったけれど、窓から射し込む陽の光は朝のそれ。


 どういう事だろう、と小首を傾げてエルナさんを見つめると、やっぱりエルナさんは嬉しそうというか楽しそうというか、上機嫌な様子で立っていた。


「ユウ様には昨日も申し上げたはずですけど、やはり聞いてなかったのですね。あちらの班と一緒に動くのは、昨日の夜で最後だったんですよ?」


 ……あー、そういえば昨日は夕飯時になんかそんな話を耳にしたような……。

 ここ数日、コンテストが近いものだから魔導具製作に取り掛かりっきりで、いまいち周りの話を聞いてなかったや。


「ごめん、あんまり聞いてなかったかも」

「そうだと思っていました、上の空でしたから」


 じとりと睨みながら言い切られる程にバレていたらしい。


 この三日程、僕はアイゼンさんからもらった屑魔石を利用して魔導具製作に精を出しているため、引きこもるような生活を送っている。

 ご飯を食べている最中も魔法陣の構築に励み、お風呂に入りながらも魔法陣の改造に精を出し、日がな一日ありとあらゆる方向性を考え続けていて、どうにも周りとの会話が頭に入ってきていなかったみたいだ。


「まぁいいですけど。とりあえず、今日からはまたユウ様と一緒に行動するつもりですので、改めてよろしくお願いしますね?」

「別に構わないけど僕に付き合ってても退屈じゃない? 僕だいたいこの部屋でずっと作業してるし」

「良いのです。もう『勇者班』のレベルは皆様四十にまで届いてしまっていますし、サクラも最近では私にはお教えできる実力ではなくなってきましたから」

「うわぁ……、みんながどんどん人外化していく……」


 レベル四十とかになると、もう僕、冗談で肩を叩かれただけで粉砕骨折とかするんじゃないかな……。


 想像して思わず顔を引き攣らせながら、僕はようやく部屋の隅に置かれていたワゴンの存在に気が付いた。


「あれ、朝食わざわざ持ってきてくれたの?」

「はい。今日はもう皆様出かけていらっしゃるので、こちらでお召し上がりください」

「あ、やっぱり寝坊してたんだ。ありがと、エルナさん。あっと、忘れてた」

「どうかなさったのですか?」

「――起きて、ミミル」


 浮かび上がるログウィンドウ。

 僕の声に反応して光の窓には魔法陣が浮かび上がり、眩い光を放つと、手のひら大の人の姿をした精霊が姿を現した。


 蜻蛉のような半透明のエメラルドグリーンの羽根に、桃色の髪に同色の瞳、アホ毛の少女。

 服装はドレスを着ている人形のような少女は、ふわりと羽根を動かしながら僕の前へとやってくると、ぺこりと頭を下げた。


『おはよう、ますたー!』

「おはよう、ミミル」


 ミミル自身は僕の言葉は理解できるらしいのだけど、ミミルは精霊言語というものしか喋る事ができないそうだ。

 僕にはよく分からないので、ミミルの言葉は僕の表示するログウィンドウに表示してもらっている。


 頭を撫でるように指先を近づけると、ミミルは嬉しそうに目を細めて指の腹に頭を自分で押し付け、ご満悦といった表情を浮かべた。


「…………ゆ、ゆゆ、ユウ様……? あの、それは、精霊、ですか?」

「あぁ、うん。【魔導の叡智】のおかげで、使い道のなかった【魔の理】を使う事ができるようになってね。〈加護〉をくれたルファトス様の力も借りて、そのおかげで生み出せた『知』の精霊――ミミルだよ」


 ミミルが自分の事を話していると気が付いたのか、今度はエルナさんの前に行ってぺこりと頭を下げ、両手を差し出した。

 どうにも人懐っこい性格をしているミミルとしては、どうも握手を求めているつもりなんだけれども……エルナさんが固まったまま動こうともしない。


「エルナさん、握手したいみたいだから手差し出してあげて」

「えっ、えっと、ハイ、どうぞ……」


 恐る恐る差し出されたエルナさんの手だけれど、ミミルの手では指を掴むぐらいが精一杯だ。両手でエルナさんの指を掴んでぶんぶんと手を振ると、満面の笑みを浮かべて再びミミルがぺこりと頭を下げてお辞儀した。


 その瞬間――「ぐふっ!」とエルナさんが吐血するかのような勢いで口を押さえて盛大によろめいた。


「ユウ様、この子ください!」

「お、落ち着いて、エルナさん。というか、ミミルは僕から離れ過ぎると、自然と消えちゃうから」


 未だベッドの上で座ったままの僕に詰め寄ってくるエルナさんの迫力に、なんだか恐怖を感じた。

 そういえばエルナさん、意外と可愛いモノとか好きみたいだし、ミミルの事は気に入ったのかな……。


「し、失礼しました……。それで、どういう事ですか? というかそもそも、『知』の精霊なんて聞いた事がありませんけど……」

「うーん、説明長くなるけど大丈夫?」

「でしたら、朝食を先に済ませてしまいましょう。そうしましょう」


 テキパキといつも以上の速度でエルナさんが配膳の準備を始める。

 ミミルが興味津々といった様子で近づいていき、それを眺めてはエルナさんが恍惚とした表情で動きを止めてしまったり、ミミルが手を振ったりする度に吐血しそうな勢いでよろめくので、総合的にはあまり普段と変わらない速度――むしろ遅いぐらいっていう事にツッコミを入れるのは野暮なのかもしれない。


 僕が朝食を食べてる間も、ミミルは言葉なきコミュニケーションを繰り返すので、エルナさんがその度に壊れていく。

 早く食べて落ち着かせないと、エルナさんのHPゲージが減っていくような錯覚すら覚えつつあるので、ちょっと急いで食べきった。


「ふぅ、ご馳走様でし――」

「それでユウ様、この可愛い精霊についてですが」

「……あぁ、うん。精霊については当然エルナさんも知ってると思うけど、ミミルの場合は普通の精霊とは少し違うんだ」


 鬼気迫るエルナさんにこれ以上待たせるのは酷なようで、僕はゆっくりと説明を始めた。


 この世界には精霊と呼ばれる者達が存在している。

 一般的に知られているのは、属性の色が濃い場所で自然と共に生きる存在だ。

 例えば火山なんかの活発な炎がある場所では火の精霊がいたり、美しい湖には水の精霊がいたりと、それぞれの属性に適した環境に生きている。

 精霊との契約は一般的ではなく、非常に難しいのだけれど、稀に精霊との相性の良さや、気まぐれな利害関係による契約を結ぶ者もいたりもして、そういった存在が契約精霊と呼ばれている。

 契約精霊がいる事で初めて使えるのが精霊魔法なのだけれど、その恩恵は凄まじい。

 魔族の魔法以上の力を扱えるようになる、とさえ言われている程だからね。


 それが普通の精霊なのだけど、ミミルの場合は色々と特殊な存在だ。

 ミミルの場合はそういった、自然と共に生きるタイプではない。神によって生み出される眷属としての精霊となる。


「――眷属としての、精霊?」

「うん。僕のスキルと僕に与えられた〈加護〉によって生み出されたミミルは、そういう部類に分けられるね」


 そう端を発して、僕は一つずつエルナさんへと説明を始めた。

 ちなみにミミルは今、僕の頭の上にいる。エルナさんの視線がさっきからチラチラ僕の目ではなくてミミルに向いたりしているけど、スルーする方向で。


 図書塔で出会ったルファトス様によって与えられたのは、【魔導の叡智】と〈叡智の神の加護〉、それに【魔導具製作】なんだけれど、最もミミルに関係しているのは【魔導の叡智】だ。


 さて、【魔導の叡智】とは何か――と訊かれれば、簡単に言えば「膨大な知識の湖のような代物」としか言いようがない。

 魔法陣に関する知識から、魔法に関する多くの条件であったりと、まさしく叡智と呼ぶに相応しい程の膨大な知識である。


 確かに、おかげで僕の頭の中には多くの知識が蓄えられ、魔法陣や魔法の構成などに関しては凄く詳しくなったと言える。よほど特殊じゃない限りは魔法陣さえ見ればどんな魔法か解析できる程に、だ。


 まるでチートのような能力を得たわけだけれど、なら何で僕が鼻高々にもならず、こんなにも落ち着いているのかと言えば、簡単な話だ。


 ……僕には知識が与えられただけであって、魔法は使えないんだもの。

 感覚的に言えば、大好きなラノベやマンガなんかの設定やら何やらにやたらと詳しくなり、豊富すぎる知識があるだけ、である。


 お分かりだろうか。

 確かに便利だけれども、僕自身にとってはあまりにも有用性がない、という事実を。


 だからこそ、魔導具を作る方向にシフトしている、というわけである。


「――ただ、ここで一つ問題が生まれたんだよね」

「問題ですか?」

「そう。いくら豊富な知識を得たとしても、僕は僕でしかない。十全に知識を活かせるわけじゃないんだよ。どれだけ大量の水が入った桶があっても、蛇口が小さいんじゃ出せる知恵は限られてしまうし、どれだけ引き出しの数があっても、引き出しが一つや二つしか開けられないんじゃ十全に活かしているとは到底言えないんだ」


 詰まるところ、所詮は平々凡々の凡人であるところの僕に対し、【魔導の叡智】とは荷が勝ちすぎていたのである。

 そんな話をしてみたら、ルファトス様も納得したようで、同時に予想外な言葉を口にしたのだ。


 ――「じゃったら、引き出しの数を増やせば良かろう」と。


「そんな訳で、僕の知識を引き出す存在として僕の補助を行う眷属――ミミルを生み出す事になったんだよね」

「そんな事ができるのですか……」

「それなんだけど、順を追って説明しないとそれもごちゃごちゃになっちゃうからね。――まずは〈加護〉についてだけど、エルナさんは〈加護〉についてどう解釈してるかな?」

「〈加護〉ですか。神様によって力を与えてもらえる得難いものである、と思いますが……」


 どうしてそんな質問をするのか要領を得ないといった感じになりながらも、エルナさんはごく一般的な解釈を口にした。

 実際、この世界に於ける〈加護〉とは、「神によって力を与えられる」という解釈が一般的に広まっている。

 その根拠となっているのは、レベルアップ時に〈加護〉を与えてくれた神に由来するスキルを得やすくなったりという恩恵があるためだ。


「それなんだけどさ。どうも一般的な解釈は正しいには正しいけれど、神様側からの見方だと意味合いが全く違うみたいなんだ」

「意味合いが違う?」

「うん。〈加護〉っていうのは本来、もっと根本的な部分――”存在の格”を上げるような代物であって、レベルアップした時のパラメータ上昇なんかはその副産物に過ぎないみたいだよ」

「え…………?」


 今度こそ、エルナさんの動きが完全に停止した。

 ミミルがそんなエルナさんの横へと飛んで行って、真似るようにぴたりと動きを止めている。


 ……この三日はずっと喚び出しているんだけれど、たまにあの子、何がしたいのかよく分からない。


「”存在の格”が上がった僕には、簡単に言えば眷属を生み出す事ができる。もちろんそれは僕一人じゃできないんだけど、ルファトス様の力を借りて、僕の眷属として生み出せるって話を聞かされてね。そこでようやく、エキドナ戦で手に入った【魔の理】が使えるようになったんだ」


 そうなのだ、ここでようやく【ことわり】と呼ばれる漠然としていたスキルの本質を知り、それを使えるようになった。

 以前エルナさんに訊いた時、【理】のスキル系統はその名の通りに「理を知る」事で理解度や耐性、それに扱い方といったものに繋がると教わった。

 それは実は言い得て妙なもので、僕には魔力を自在に操れる程度には魔力に対する操作度を深めている。おかげで、使い道のない僕の魔力をそのまま使って、ミミルという眷属を生み出せた、という訳である。


「…………えっと、では、ミミル様はユウ様によって生み出された精霊、という訳ですか? ルファトス様によって、ではなく?」

「ルファトス様の力と僕のスキルで生み出された精霊、だよ。って言っても、あくまでも僕の中にある【魔導の叡智】を引き出すお手伝いをしてくれるだけで、魔法とか使って魔物とかと戦えるわけじゃないけど」

「………………え、えええぇぇぇっ!?」


 らしからぬ大声をあげるエルナさん。

 その横で何故か「ふふん」と胸を張って腰に手を当ててドヤァと表情を変えている、人形のような少女精霊のミミル。


 その場が混沌とする中で、僕は一人ティーポットを傾けて紅茶を飲む事にした。

 しばらく混乱したままのエルナさんが、ようやく落ち着いた頃。


「一番人外になっていらっしゃるのはユウ様ではないですか……」


 そんなツッコミが聞こえて気がするけれど、するっとスルーする方向で僕はエルナさんに紅茶を渡した。


 ミミルは確かに精霊だけれど、別に特別強い訳じゃないし、あくまでも僕の知識のサポートをしてくれるだけの存在だよ。

 運動能力が人外だったりするエルナさんに言われたくない。


「それではユウ様には【火の理】もある事ですし、〈火の精霊〉を生み出そうと思えば生み出せるということですか?」

「ううん、それは無理だよ。属性精霊っていうのはそもそも精霊神によって生み出される存在だから、僕が生み出せるわけじゃないんだ。ミミルは精霊の中でもかなり下位の存在だし、僕を通して『叡智の神』の眷属として扱われるからこそ生まれる事が許された、謂わば抜け道を使ったような存在だからね。ミミルが例外なんだ」

「そうですか……。でも、どうして教えてくれなかったんですか?」


 じとりと睨めつけるエルナさんの目には明らかな批難の色が混じっていた。


「いや、うん……。まぁのっぴきならない事情というヤツがございましてですね、ハイ」

「……まさか、忘れていたんですか?」

「あははは、そんな訳ないよ、うん。ないない。ないったらない。勿体ぶって言わずに驚かせようとしていたんだけれど、みんながツッコミを入れてくれないが為にへそを曲げてアイゼンさんのところに行って、そのままコンテストが近いし屑魔石を貰ってて研究が楽しくて没頭してたから忘れてたとか、あるわけないじゃない」


 にっこりと笑って答える僕の横から、ミミルが僕の目の前へと行ってログウィンドウにデカデカと『有罪』と書いて広げてみせてきた。


 くっ、プラカードみたいにログウィンドウを使うとは……。

 生まれたばかりのミミルは、知識はあるけれど見た目と違ってかなり精神年齢が幼い傾向がある。

 これが定着しそうでなんとなく困る。

 ログウィンドウは他人には見えないんだから……。


「……はあ。まぁいいです」


 呆れたような、しょうがない僕を見るような目で微笑むエルナさんの態度が僕の良心に突き刺さった気がする。


「ところで、研究の方はいかがですか?」

「あぁ、うん。それなりには形になってきてるんだ。ミミルのおかげで色々と捗ってるから」

「何を作っているんですか?」

「今作ってるのはこれだよ」


 そう言いながら屑魔石を見せると、エルナさんは小首を傾げた。

 まぁ見て判るものじゃないから当然なんだけども。


「エルナさん、これに魔力を注いでみて」

「はあ……」


 要領を得ないまま、それでもエルナさんはゆっくりと魔石に魔力を注いでいく。

 その姿を見ながら、僕はエルナさんに渡した屑魔石と対になっている懐中時計を思わせるような針がついた道具を取り出し、そのメーターをじっと見つめていた。


「ん、もういいよ」

「ユウ様、それは?」

「そっちの屑魔石に注がれた魔力に反応するんだ」


 僕の言葉を聞いて、エルナさんはしばし逡巡した後でゆっくりと目を見開いた。


「……まさか、これは……」

「そう、『魔力計測器』。体感でしか判らない魔力の総量を計測する為の魔導具なんだ」


 魔力を吸い上げる、という観点で完成している魔導具を、僕は持っている。かつての勇者――リュート・ナツメが作成に参加したと思われる魔導銃〈特異型ノ零〉と呼ばれる〈古代魔装具アーティファクト〉の魔器だ。

 僕が作ったこれには、〈特異型ノ零〉の魔器に刻印された魔法陣を改めて精査しながら書き換え、「魔力の放出」と「共鳴」の特性を与えた対型の魔導具として作っている試作型である。

 魔石には魔力を蓄えるという特性があるので、魔石を空の状態にまで魔力を放出させ、そこに注がれた魔力量と、僕の持つメーターに共鳴させ、針を動かすという至ってシンプルな代物。


 詰まるところ、ライトノベルのお約束テンプレである、「魔力を注いだら凄い事になって周りから一目置かれちゃう」的なイベントを引き起こす為だけに登場するアレである。


 いや、もちろん僕にはそんな力はないし、一定以上の魔力を注いでも魔力の放出が起きるから爆発したり消滅したりなんていう劇的な効果が出るはずもないんだけども。


「〈古代魔装具アーティファクト〉を再現したのですか……!?」


 現存する〈古代魔装具アーティファクト〉の『魔力計測器』と言えば、この世界でも有名な代物だそうだ。

 まぁ、残念ながら僕らは使った事ないけれど。


「〈古代魔装具アーティファクト〉に比肩する程の性能はそれにはないよ。もうちょっと精度をあげたり、実験を繰り返したりする必要もあるし。ただ、それは僕が作ろうとしている魔導具の取っ掛かりになる予定なんだ」

「取っ掛かり……。何を作るおつもりなのですか……?」


 くすくすと、今後を思うと笑いが止まらない。


「ねぇ、エルナさん。僕には、他のみんなみたいに魔族と戦う力はない。レベルすら上がらないんじゃ、当然ながらにそんな真似はできないんだ。――だから、方針を変える事にしたんだよ」




「い、一体、何を……?」




 ごくり、と息を呑むエルナさんの横に移動して、「ごくり」と書いたログウィンドウを見せてくるミミル。ログウィンドウを使って遊ぶ変な癖ができつつあるような気がするけど、それもまたスルーしておく。









「僕はね……、魔族に徹底的に嫌がらせをする事にしたんだ」






 にっこりと笑って、僕は今後の方針をそう語った。







 その夜、なんだかみんなが僕と目を合わせてくれないような気がしたけれど、きっと気のせいだと思う。

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