第7話 剣の師

 「…えっと?」

 「あ、目が覚めたね。全く、体調も無茶が過ぎるよ。まぁ、怪我は特に無いあたり、隊長としてら手加減してたのかな」


 そう言いながらアインスは近寄ってくる。


 「隊長1人だったからおかしいと思ってね。駆けつけてみたら君が倒れてた。それで運んで手当てを頼んで、今に至るってわけさ」

 「そうでしたか。んー、迷惑かけてばっかりですね。アインスさんも少しぐらい迷惑かけてくれて、いいですよ?」

 「それは……。僕はいいよ、君の世話を焼く方がたのしいしね」

 「褒めてますよね?」

 「貶してはないよ」

 「あ、ボカしました!どういう事ですかぁ?」


 そんな風に話していると、知らない声が響く。


 「ここか。……アインス、君が連れ出していたのか」

 「ツヴァイ…さん。連れ出したつもりはありませんが」

 「貴様らの隊長が雇い主様に伝え、雇い主様が俺に伝えた。手当てをし、明日からの剣の稽古をつけろ、と。それを言われたところに留めておかなかったのだから、連れ出したと言えるだろう」


 ここで違和感を覚えて尋ねる。


 「あの、貴様らの隊長と言うのはどう言う事ですか?剣の稽古をつけてくださるなら、ツヴァイさんも護衛師なんじゃないんですか?」

 「護衛師だが?」

 「え、じゃあ」

 「護衛師だが、貴様とは違う。そう言う事だ」

 「あのね、隊長は自分で護衛師隊を持ってるんだ。僕たちはその隊に属してて……」

 「説明は後にしろ。手当ては終えたようだな。なら話は早い。明日からの剣の稽古は俺が受け持つ。以上」


 それだけ言って、ツヴァイは後ろを向いて去ってしまう。


 「あの人、苦手です」

 「僕もだよ。なまじ腕が立つから余計になんと言うか…。まぁ、隊長の稽古よりは幾分マシだよ、多分」

 「多分って……」

 「あ、そんな事よりさ!今夜も魔法の練習、するだろ?また待ってるよ!」

 「そうですね、はい!昨日の復習と、魔法書に書いてあった応用術式から3つ、試そうと思ってたんです!」

 「了解!昨日と同じ時間に同じ場所でね!」




ツヴァイさん、苦手です……。絶対あの人集団行動できませんよ。夜はアインスさんと魔法の練習ですし、それまでに体力取り戻さないとですね!

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商隊護衛の魔法弓師 蓼 早苗 @SiegFried-3

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