所変われば品変わる

 『所変われば品変わる』とは、場所が変わると同じ物でも、呼び名が変わる。習慣とか風俗とかいうものは土地によってさまざまで、大きな隔たりがあるということ。


 山形県から北海道に引っ越して驚いたことは、なんといっても言葉でした。

 初めて方言が変わるほどの環境の変化でしたし、思春期には訛りが恥ずかしく思えたのを懐かしく思い出します。


 現在ではあまり言わないかもしれませんが、当時は北海道で『なまら(とても)』『じょっぴんかった(鍵をかけた)』『ぎる(盗む)』『投げる(捨てる)』などの方言を聞いて戸惑ったものです。北海道でも地方によって少し違ったりもするんでしょうけどね。


 絆創膏を『サビオ』と呼んでいるのも不思議でした。山形ではサビオなんて聞いたことがありませんでしたから。

 サビオとは元々は登録商標なのですが、それが絆創膏を指す言葉として定着したそうです。もっとも、そうと知ったのは薬局に勤めてからですが。

 絆創膏は各地でいろんな呼び方をされているようですね。


 そしてなんといっても『ざんぎ』ですね。

 北海道のソウルフードともいえる唐揚げですが、唐揚げとざんぎの違いって曖昧です。ただ、北海道の人は『ざんぎ』といえば鶏の唐揚げを指しますね。たこの唐揚げは『たこざんぎ』と呼びますが、ただのざんぎといえば鶏なのです。


 赤ちゃん言葉だって『所変われば品変わる』で、北海道では『おっちゃんこ(座る)』でも群馬では『えんと』です。

 拙作『あさはんのゆげ』の『あさはん』とは夫が朝ご飯のことをそう呼ぶことから思いつきました。

 群馬県にも方言はありますね。『割る』のことを『おっかく』とか言ってますね、夫は。『来ない』というのも、『こない』ではなく『きない』と言っています。


 群馬県と北海道では言葉よりも、通過儀礼や習慣の違いが大きいかも。山形と群馬のほうが本州同士のせいか、近い気がします。

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