縁は異なもの、味なもの

 『縁は異なもの、味なもの』とは、男女のめぐりあい、結びつきというものは、予測のつかない本当に不思議なもの、面白いものだということ。


 学生時代、私は「どうせなら結婚、出産、離婚はひととおり経験したい」と言ったことがあります。言霊ってあるんですよね、本当にその通りになりました。


 北海道で私はとある男性と結婚しましたが、数年で離婚しました。その後、今の夫と再婚して群馬県に引っ越したわけです。


 学生時代に戻れるなら、「経験するのはいいことだけど、離婚は結婚より大変だし、言霊をなめるなよ」と自分を叱りたいところですが、実際には離婚したことも創作に役立ったりするわけです。

 逆に、とある漫画の離婚届を書くシーンで「あぁ、この作者は離婚したことがないんだろうな」と察して醒めてしまったこともありますが。


 離婚にまつわるあれこれも、実際に経験しないと気づかない点はあります。手続きのこと、周囲の反応、かけられやすい言葉、なにより感情。

 あと、市役所によって違いますが、私がいた街では離婚届の書類は一度に一枚しかもらえませんでした。書き損じたときのためにもう一枚欲しかったのですが、そういう規則だと言われてしまいました。そういうのも、離婚しなきゃわからなかったなぁ。もっとも、今の時代はダウンロードできる自治体もあるそうですが。


 『縁は異なもの、味なもの』とはよく言ったもので、実は前夫がいなければ携帯小説を書き始めてはいなかったのです。

 そして彼は離婚してもギスギスすることもなく、よき理解者でいてくれます。かえって、離婚したほうがバランスがとれたといえます。

 携帯小説を書くことも応援してくれましたね。離婚後には、エブリスタに登録して、私の作品を読んでくれたそうです。

 私の文庫が出版された時は、彼には知らせていなかったのですが、ちゃんと聞きつけて本屋さんで買ってくれたという風の噂です。


 現在の夫も執筆を応援してくれますが、私の小説を読もうとしません。身内の文章はなんだか気恥ずかしいんだそうです。


 実は前夫と出会う前に他に結婚したかった相手もいるし、でも気がつけば群馬にいて、猫と子どもと夫と暮らしている。人生って不思議なものだとつくづく思います。

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