一期一会

 『一期一会』とは一生にただ一度の貴重な出会いであるということ。茶道の心得から出た言葉です。


 うちの地元では毎月第一土曜日に神社で骨董市が開催されるのですが、そこに行くたびにこの言葉を脳内で繰り返し思い浮かべます。

 骨董市に出ている品というのは、そのときを逃せばもう二度と会えない確率が本当に高いですね。ぐるっと一周巡ってくるうちに売り切れていたり、先月はあったのに今月はもう出ていなかったり、お店自体が出店していなかったりもします。


 「いいなぁ」と足をとめるんだけど買わなかったものほど、意外ともう出会えなかったりするんです。そして、そういった品が一番いつまでも心に残るから厄介です。


 私は目利きでもありませんし、骨董について知識があるわけでもありません。たとえば同じそば猪口でも片方は500円なのに、もう片方は4000円だったりする。その値段の違いがさっぱりわからない有様です。確かに模様は違うけど、3500円の差はどこにあるのだろう?


 そんな私ですから、買う買わないは、あまり深く考えません。

 衝動的に買うとき以外は、並んでいる品々を目にしたとき、我が家でどう迎えようか想像できたら財布と相談の上で、買うことにしています。

 ホーローのパットはキッチンの整理に使おう。そば猪口はつまようじを入れてもいいし、デザートやおかず、コーヒーをいれてもいい。昭和の国産タイルは洗濯用洗剤の液だれ防止のために下敷きとして使うか、鍋敷きにしてもいい。

 そういう風に、手にとった品が日々の暮らしで活躍している姿が見えたら、買うようにしています。そうでないと、物が増えていくばかりですからねぇ。特に食器類はすぐ欲しくなるので要注意です。


 骨董市にはお団子や甘酒も売っているので、それも楽しみだったりします。春のうららかな日差しのもと、夏の暑い日差しの下、秋の銀杏を見上げながら、冬の寒さの中……一年を通じて、美味しいひとときとも、一期一会ですものね。

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