隕石のような押し売り~リレー小説②
双葉あき
隕石のような押し売り~リレー小説②
#隕石のような#押し売り#ヘンタイ博士
***
今にもぶち当りそうな隕石が、操縦席のスクリーンいっぱいに映し出される。
「ぶつかる、ぶつかる~!!」
操縦士たちと共に、恐怖のリフレインで叫ぶ、グリザイユ画家まよなかちわわ。
スクリーンぎりまで隕石が拡大された時、隕石の中央がパカリと開き――ホタテ貝のような裂け目から、ライトアップされた丸窓がのぞいた。
なんと、今ぶち当らんとしていた隕石は、隕石に模倣した宇宙船だったのである。
丸窓から、一応人間らしい――アヤシイ人物が顔を出す。
・・・・・・坊主頭で、にやにや笑っている。
人間――らしいのだが、性別・年齢は不明で、ひたすらアヤシイ。
「ど~も、ど~も🎵 ワタクシ、趣味のものを研究開発し、できれば販売したい――ヘンタイ博士の、双葉あきでぇす🎵🎵 ゲートを開けて、入れて下さらんかな?」
操縦席から、アヤシイ人物の声が流れ出した。
どうやら勝手にヘンな電波を流し、受信機から音声を流しているらしい。
操縦士と画家は、困惑した表情で顔を見合わす。
こんな奴、思いっきり入れたくない――が、入れないと更に面倒な事になりそうだ。
***
「ど~も、ど~も🎵 まったく、良いお船ですなぁ~。最高速船でしょうかな?」
調子の良いことを言いながら、ヘンタイ博士双葉あきが乗り込んでくる。
ぞろぞろと、自分のクルーらしい若い男達を従えて・・・・・・子供も、混じっている。
全員、見目麗しい男達だが――妙なオーラが漂い、腐臭が漂うようだ。
「・・・・・・おや、貴方は画家でしょうかな? これはちょうど良い! ワタクシがクリエイトした、これらの美しい人造人間のどれかを買って――モデルにしてみては?」
どうやらヘンタイ博士が引き連れてきたイケメン達は、人造人間らしい。
グリザイユ画家まよなかちわわは、イケメンにそれほど興味がない――なにより、人造人間たちに漂う、妙なオーラと腐臭が鼻につき、吐き気を覚える程だった。
画家の思惑など構わず、ヘンタイ博士は商品の説明を始め出す。
まずは背が高くて青白い――どす黒いオーラが漂う若者から始まった。
「え~こちらはワタクシの最新作で――年上の女性を狂わせて暴虐の限りを尽くす、残虐非道なサイコ君でぇす🎵 大変危険なので、取り扱いには充分ご注意ください」
――思いっきり、要らない。
不快気に顔をしかめる画家を見て、ヘンタイ博士は次の商品の説明を始める。
ひょろひょろとした、少女漫画に出てくるような一応美青年だが、目が荒み切っていて、警戒するような眼つきで画家を睨んでいた。
「え~、こちらは基本善良な青年です・・・・・・でも、キレたら手がつけられません。優しくしてあげると
――そんな役立たず、基本要らない。
更に不快気に顔をしかめる画家を見て、ヘンタイ博士は次の商品の説明を始める。
とても美しいが、男だか女だかわからない若者だ。
「え~こちらは全く危険のない、可愛らしいだけの尻軽君です――ま、遊びたい時は、5万円払ってあげてくださいね?」
――これほど要らないものも、無いだろう。
実際この子、とても受けが悪いのだ・・・・・・ヘンタイ博士は次の商品の説明を始める。
「じゃ、じゃあペアでどうでしょう? こっちのメガネの可愛い子ちゃんと、色黒金目の美少年は、ペアで販売しております――見た目は中学生ですが、実は明治時代から生きてるジジイ共です。特にこっちの色黒ビッチが寂しがりやなんで、絶対二人を引き離さないで下さいね? お話にもならないヘボジジイ共ですが・・・・・・」
お話にもならないヘボジジイ共――いつ終わるんだろう?
不快極まりない顔の画家に、ヘンタイ博士は勝負に出る――っ!
最後の商品は――つぶらな瞳の中にお星サマいっぱいの、大変可愛らしい10才位の幼い少年だった。
実際この子は、博士の作品の中で一番、お星サマが多いのだ――っ!!
「この可愛らしい少年は、大変けなげながんばり屋さんですぞっ! 幼い妹を養うため、身体を張ってガンバっているのですっ――ちっちゃなお尻で♪」
***
出て、行け――。
コブシをぶるぶる震わせて、誇り高いグリザイユ画家、まよなかちわわは言った。
ヘンタイ博士双葉あきは肩をすくませ、すごすごと退散する――腐臭漂う人造人間たちの、お尻をぺちぺち叩きながら・・・・・・。
ケツに触んな、とキレた声がして――博士がボコられる音が聞こえてくる。
・・・・・・とてもうれしそうに。
画家と操縦士たちは顔を見合わせ、くだらない成り行きに苦笑した。
隕石のような押し売り~リレー小説② 双葉あき @Aki_Futaba
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