第4話
8/chapter
任務から引き上げた浅雨兄妹は、真夜中の街を徘徊していた。
「もう、おんぶしなくても大丈夫よ。」
少し不満げに話した少女は雪のように真っ白な髪の毛を手で弄っていた。
「え?あぁ、すいませんねぇっ…と」
軽々と
「ふぅ、あなたの背中ゴツゴツして痛いわ。」
少女はスカートの裾をぱんぱんと払った。
「鍛え上げた体に文句ですか、そうですか。」
はぁと奨はため息をついた。
「さぁ、着きましたよ、えーっとそういえば名前をまだ聞いていませんでしたね。」
「名前なんてないわ。まぁ、しいて言うならα《アルファ》でいいわ。」
「α?じゃあ、呼びにくいからアルフさん、って呼ばせて下さいね」
さくっと凸毬はαのあだ名を決めてしまっていた。
「まぁ、何でもかまわないわ。」
αと浅雨兄妹はIPGに到着していた。
今日も日差しは肌をジリジリと焦がすように暑い猛暑日だった事を覚えている。
9/chapter
「こことても暑いわね。」
αは汗をダラダラとかき、透き通るような白い肌にツーっと流れ、セーラー服はαの体に張り付いていた。
「アルフって本当に肌が白いよな」
奨がさり気なくそんな事を口走った。
「そう、あなた私に下心のある野獣の如き目で見つめてきて、そんなに性に植えているのかしら。」
なんだよこの少女。超可愛くない。めちゃくちゃ可愛いくない。
「なに?私のパンツでも除きたくなったの?」
このガキ減らず口を…。
「あっ、アルフさん破廉恥です!不埒ですうぅ!!!」
凸毬はそう叫びながらIPGの建物に走っていった。
「お、お前なぁ」
「なに?私何か変なこと言ったかしら?」
αはキョトンとした顔で聞いてくる。
「お前はもう少し自重しような」
「?」
話しているうちに、建物の中の1室。
『面談室』に到着していた。
「さぁなんなりと聞きなさい」
αは椅子にどーんと腰を下ろして脚を組んで座っていた。
「じゃあ聞かせてもらいますね」
総司令官の
「じゃあ、あなたはいつ頃ぐらいから記憶がはっきりしているのか、教えてくれない?」
「そうね、私ね自分で言うのもどうかと思うのだけれど、多重人格だから今の私の記憶だとあの兄妹が侵入した時ぐらいしかないわね。」
「いま多重人格って言ったけど、どのくらいあるのか分かる?」
「私を含めて3人よ」
「残りの2人は今出てこれるの?」
αは少し俯き何かを決心したかのように顔を上げた。
「もう1人の子は出てこれるわ。けど、もう1人は絶対に出てきては駄目。」
「なぜ?」
「理由は言えない。今は。」
「分かったわ。じゃあ出てきてくれるようにお願いできるかしら?」
にっこりと華恋が微笑んだ。
「分かったわ。」
そしてαはまるで電源が落ちたかのように、プツンと倒れた。
「ん…」
「こんにちはいきなりごめんなさいね。」
「い、いえ…だい…じょうぶです。」
まるでさっきのαとは違いとても弱々しい少女になっていた。
「いきなりなんだけど、あなた
αはその名前を聞きピクッと反応した。
「か、香月は、私の…私を、作った…母親みたいな、人ですから。」
「じゃあ続けて質問なんだけど、あなた達の人格で出てきたら駄目な子ってどんな子なの?」
「そ、それあの子にも…聞いてましたよね。」
αはもじもじと手を弄る。
「一応聞いておきたいのよ。これからのあなた達にとってもそこは大事なのだも思うのだけれど?」
「わ、かりました。」
言い終わると同時ににまた、プツンと倒れた。
「あのね…聞きたいのは分かるわ。でも私達の事を他人にとやかく言われるつもりはないわ。あの子押しに弱いから。あなた達は何も分かってないのよ。あの子がどれだけ恐ろしいのか。」
αは訴えるように華恋に言う。
「私達は白夜香月の代わりにあなた達の処理しているのよ。だから我慢してちょうだい。所詮ただの人工AIなのだから。」
華恋は吐き捨てるように言った。
「所詮…ですって?」
「えぇ、それ以外に何があると言うの?」
αは歯を食いしばった。ギリっと音がする。
「いいわあの子を呼んであげる。だけど私は何も手助けはしない全部あなた達の責任よ。あの子が暴走しても知らないから。」
先ほどとは一変して冷静だった。
そしてαはまた、倒れた。
「準備いいわね。」
「は、はい。」
「大丈夫だ。」
部屋の隅でスタンバイしていた浅雨兄妹が構える。
そして数分経った時、むくっとαが起き上がった。
「妾を呼んだのは汝らか…?」
「えぇ、少し話を聞かせてちょうだい。」
「ふっ構わんぞ」
αはニヤリと不気味な笑みを浮かべていた。
「じゃあ、まず単刀直入に言うわね。あたは人を喰らったわね?」
面談室に沈黙が訪れた。
その瞬間とても時がゆっくりと流れている気がした。
続く
αの崩壊 望月 ひかる @ako1132
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