散髪
六人も子どもがいると散髪代なんかにお金をかけていられない。っていうか、もともと私も大学に入るまで家で切ってもらっていたから、それをそのまま踏襲して私が子どもたちの髪を切ることにしている。
だけどプロじゃないし、なかなか上手には切れない。
「ん~、右の方がちょっと短いかな? あれ? 左、切り過ぎたかな?」
とやっているうちに、だんだん短くなってくる。
娘たちからブーイングが出始めたのは小学校中学年くらい。それでもまぁ、だましだまし私が切り続けていた。最初の目測を長めにしておけば
なんとかおさまるようになって数年。
高校生になると、長女は自分で切ることを覚えた。
「すごい! うまいやん! 後ろも自分で切ったん?」
なんと長女は私のカットに見切りをつけ、自らカットできるようになってしまった! 上手にカットしてあるのを見て、次女も私より姉がいいと言い出す。
う~ん、娘より下手と言われるのはちょっと悔しいけど、カットする労力が減るのは助かる。プロがさっさときれいにカットするのと違い、下手な上に時間がかかるから、六人カットするのは結構骨が折れるのだ。
だけど、男の子達は簡単だ。失敗したらバリカンで丸坊主。
とこれができたのはやっぱり幼稚園くらいまで。小学校に入るとなかなか坊主にはしたがらない。
それでも長男次男はときおり丸坊主になっても、ちょろっと文句をいうだけだったのに。
かっこつけの三男は。
「絶対イヤ! お姉ちゃんにしてもらう!」
なんだとう? 男のくせに細かいこと言うんじゃない!
大体この三男は、普段から次女が
「男前や。一番かっこいい」
「イケメンや」
「ジャニーズ系やん」
と常々言ってるから、ちょっとナルシスト気味なところがある。
全くもう、小学校あがったばっかりで男の子が!
とは思うけど。
実際には楽になるので長女に任せることにした。
だけど、長女もそうそうヒマでもない。テスト前だのなんだの言って今回はずいぶん伸ばしっぱなしになってしまった。
何回も「切ってやって」と言うもなかなか・・・。
思い余って、
「もうお母さんが切る!」
「絶対イヤ!」
「そんなんなし!!」
「イヤ!!」
「自分からお姉ちゃんに、お願いしないから悪いんでしょ! 切るよ!」
と半強制的に風呂場へ連行すると。
なんて奴だ。この世の終わりとばかりに大泣きして、ダンゴムシのように丸まってしまった!
わかった。そ~んなに嫌なら、もう二度と切ってなんかやらない!!
結局、テスト前だという長女に任せることにした。
「もう! 明日テストやのに!」
でもさ、定期テストじゃなくても、しょっちゅう単語テストだなんとかテストだって言って後回しにするじゃん。
というわけで、もう私は散髪屋さんをするのをやめることにしました!
お姉ちゃん、お願いね~!!
ついでに私のも切ってくれたらいいのにな~。
なんてね。
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