カーテンホルダー
まだ結婚間もない頃。
家を新築した友達の家に遊びに行った。可愛いインテリアのセンスのいいリビングで私の目にとまったのは、木彫りの小鳥がのったアイアンのカーテンホルダー。
私はカーテンをとめるのは、タッセルしか知らなかった。頭に浮かぶのはカーテンと同じ布で作られている幅が五センチ程度のもの。
この可愛らしい小鳥のカーテンホルダーを見て、ひとめぼれしてしまった私は、いつか絶対こんなかわいいので家を飾りたいと思った。
今の家を買ったときに、その夢を実現させようと思ったのに。
「そんなんすぐ壊れるよ。男の子は、特にこの家の子どもらは乱暴なんやから」
と同居が決まっていた母に反対された。
それでもなかなか諦めきれず、何度も何度もカタログを見ていたのだけれど、乱暴者の子どもたちのそれまでの行跡を思い出し、いつか・・・子どもたちが大きくなったら、と先延ばしにすることにして諦めることにした。
二カ月後。
早くもその決断が正しかったと知ることになった。
いくら注意してもカーテンの中にクルクル入って遊ぶ子どもたち。
カラーンと音がしたので見にいってみると、タッセル掛けが壁から外れていた・・・。その後一年ほどの間で、あっちが外れ、こっちが外れして。しまいにはカーテンそのものまで裂けている始末。
子どもって二人いたら二倍じゃなくて、二乗で騒ぐよね。男の子が四人いたら四乗? ストップの声ははしゃぎだした子どもたちの耳には全く入らない。
「カーテンで遊んだら駄目!」
私の言葉は宙に消えていく・・・。
現在我が家のカーテンは、タッセルを洗濯ばさみではさんでとめている状態。タッセル掛けはつけてもつけてもとれるので、ほとんど残っていない。
そのタッセルもしょっちゅうどこかへいって行方不明。
と思ったら布切れのマントを前でとめるのに使っていたり、ベルトとして腰に巻いていたり、いくつもつなぎあわせてロープのようになって二階から垂れ下がっていたり。
発想は面白いんだけどね?
もうそろそろ人間語、理解してほしいなぁ。駄目なものは駄目なんだって。
憧れのカーテンホルダーをつけられる日は、いつかやってくるのだろうか・・・。
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