雛
四年生、五年生とツバメの雛を持って帰ってきた長男。
去年巣立たせることができたからか、今年はツバメの雛をとってきたりはしなかった。
もうとってきたら駄目だって学習したのか、巣立たせたことで満足したのか、よかった~っと思っていたら。
今度は雀の雛を持って帰ってきた。
一羽だけ。
本人いわく、道端に落ちていたとのこと。
またしても金曜日に持って帰ってきたというのが、拾ったのかどうか疑わしく思えるところだけど。
前歴があるからなぁ。もしかしたら、またとってきたのかもしれないけれど、そこは本人の言を信じるしかない。
でも、もう少しは飛べるようだ。練習中に落ちた・・・いや、下りていたのかもしれない。
その日は日中出かけていて夜はPTAの会議があったので、私はバタバタと夕飯の支度をしていた。
「箱か何か用意しなさいよ。もう飛べるなら、家の中は駄目だよ」
そうして長男にまかせて、他の子たちを食べさせはじめてからすぐにでかけたので、私はすっかり雀のことを忘れていた。
翌朝。
早朝からチュンチュン大きな鳴き声がして目が覚めた。時計を見るとまだ四時にもなっていない。二時前までエッセイを書いていたからまだ二時間ほどしかたっていない。寝ぼけた頭は昨日の雀の雛のことは思い出さない。
うるさいなと思いつつもう一度眠りについては起こされて・・・完全に寝不足だ!
試験休みで娘たちの部活がないから弁当もない。久しぶりにゆっくりできるはすだったのに。
結局起きたのは七時でいつもより遅いのに、頭はぼーっとしている。寝ぼけまなこで朝食を作っていると、またしてもチュンチュン鳴き声が。
あっ、そうだ。昨日雀を持って帰ってきたんだった。と思い出し玄関ポーチに出てみる。
昨日の雀、どこに置いてるんだろう?
探してみてもどこにもいない。声もしなくなっている。
後で長男に聞けばいいかと、また朝食作りに戻るとまた鳴きだす。気になって玄関に行くと鳴きやむ。
・・・あれ? まさか鳴き声は家の中でしている?
玄関で耳を澄ましていると・・・。
やっぱり家の中だ! 駄目って言ったのに。
でもどこにいるのか見つからない。声はすれども姿は見えず。
起きてきた長女も一緒に探してくれる。二人して耳を澄まして居場所の見当をつけては探すのを何度か繰り返して。
いた!!
やっと発見した雀の雛は、長靴の中に入りこんでいた。中々見つからなかったはずだ。
「家に入れたらあかんって言ったやん」
起きてきた長男に言うと。
「僕知らん」
知らんはずはないやろう! と叱りたくなったけど、眠すぎてそんな気にもならなかった。
雀の雛はその日のうちに巣立っていった。
・・・やっぱり巣立ちの最中に連れてきたんじゃないのか? 真相はわからないけど。
そうしてほっとして二週間もたたないうちに。
今度は何の鳥かわからない雛を持って帰ってきた。また落ちていたらしい。
・・・そんなに雛は落ちていないと思う。やっぱりやっぱり巣からとってきてるのか?
そしてこの雛は一体何者なんだ? 形状からすると、ムクドリかシロハラかヒヨドリか。エサは?
長男はがんばって朝夕にバッタをつかまえてはあげてるけど、それだけじゃ足りないでしょう。今回は平日だったので、じいじと私で日中は世話をする。
結局自分で世話できないのに!
可愛いけど、雛は手がかかりすぎる。
・・・もうとってこないでね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます