集団登下校
長男はとにかく真っ直ぐに登下校することができない。興味のあることが目に入るとすぐに止まってしまう。
六年生になった今でも、登校についていっている状態だ。
低学年の頃は本当にひどかった。
まず、集合場所に時間通りに到着させるのに一苦労。まっすぐ行けば五分ほどのところが、十分も二十分もかかる。
車で送迎すれば簡単なことなんだけど。そっちの時間もかからないし。でも、私はそれは嫌だった。やっぱり自分の足で行くことを覚えてほしい。それは彼にとってもそうだけど、彼を送るとなると全員送ることになる。だからなおさらそんなことはできない。
だけど。
溝のカニを見つけては止まる。オタマジャクシを見つけては止まる。カエルを見つけては止まる。
生き物がいなくても、タンポポに止まり、ひっつきむしにとまり、季節が変われば落ち葉に止まり、雪に止まり、氷に止まる。
誰だってちょっとは寄り道すると思う。止まって氷で遊ぶ一年生は他にもいる。
ただ、長男はその止まってしまう時間が長すぎる。他の子は、通学中に遊んでいるという意識があるけれど、彼にはそれが全くない。というか、遊んでいるうちに吹っ飛んでしまうようだ。
集団登校で彼が止まってしまうと、班の子たち全員が遅刻になってしまう。だから親の同行が必要になるというわけだ。
でも、親がついているからといって真っ直ぐに進むわけじゃない。どうしても動かなくなってしまったときは、他の子に先に行ってもらって、怒ったり、優しく言ったみたり、あれやこれや手をつくして連れて行く。仕方なく手を引っ張って無理矢理つれて行くこともある。
学校に行くことが嫌なわけでは決してないのだけれど。
下校時も同様。
ただ問題は登校時に一緒にいる高学年が下校時にはいないこと。同級生では彼の対応はなおさら難しい。
登校と違って授業時間までに、という制限はないけれど、他の子たちまで家に帰れなくなる。
仕方がないので、下校も付き添いが必要と言われる。
だけど毎日迎えに行けるかというと、私にも用事があって行けない日もある。
そんなときは、じいじやばあばに頼むのだけれど。
ばあばが途中で「まかれた」と連絡してくる。
いや、まかれたって言われてもどうにもできないんですけど。
「どこに行ったのかわからないなら、もう帰っていいよ。そのうち帰ってくるでしょう」
としか言えない。夏の炎天下や雪の降りそうな寒い日に、探し回ってもらうのは申し訳ない。
それなのに。
「まだ見つからない」
と連絡してくる。
・・・いや、探し回っても無理だし。帰ってくれていいんだけど。
とも言えなくて謝るしかない。
私が連れて帰る時は問答無用、手をひいて帰っていた。
嫌だと叫んで飛び跳ねている間に私が歩くので跳ねて前に進んでいる感じ。見ている人にしたら、少しぐらい付き合ってあげたらいいのにとか思われているんだろうなぁ、と思いながら。
付き合ってあげる日がないわけではなかったけれど、彼にとって時間は無限。永遠に家に帰れない。三時間付き合おうが、結局帰る時には引っ張っていくことになるのだ。
そんな調子で毎日毎日彼に時間を費やされていた日々。
今は少々遅くなってもちゃんと帰ってくるようになったので、下校時の迎えはしなくなった。ゆっくりではあるけれど、彼なりに成長していると思う。
でも登校はいまだに付き添いあり。
当時とは理由が違って、兄弟げんかがひどすぎて道路に飛び出す危険ありってなんじゃそりゃ。
いつまで手がかかることやら・・・。
来年は中学生の長男。
中学校は自分で行けるよね? 今年度で朝の送りは卒業できるよね?
来年小学校にあがる四男は、お兄ちゃんたちのときには一緒に学校までついて行ってたのに! って怒るかしら?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます