小さかった頃の話
四男は頭の回転がはやく、ずるがしこいくせにまだまだ舌ったらずなところがあり、そのギャップがなんともいえず可愛い。
「お母さん、これぬすんで~」
って何を盗むの?
と思ったら、ほどけた紐を結んでほしかったりする。
小さい子の言葉は面白い。だけど、一人一人言えない言葉が違う。
「そういえば、長女が小さかった頃は、大好きなシイタケを言うのに変なところで区切って、『しいた、け』って言ってたなぁ。
あと、三才の誕生日前にひらがなを二週間で覚えたんだけど、水疱瘡で二週間家の中にこもりっきりになっている間ひたすらことわざカルタをしてて覚えたもんだから、『あ』を一文字の『あ』として認識しないで、『あ』は『あたまかくしてしりかくさず』って覚えちゃったんだよね~。
だから『あひる』って書いてあると、『あたまかくしてしりかくさず、ひょうたんからこま、るりもはりもてらせばひかる』って読んだんだよ~。これを普通のひらがなとして覚えさせるのに更に一週間かかったわ~」
こういう昔の自分たちの話をしてもらうのを子どもたちはすごく喜ぶ。
「僕は?」
「僕はどんなんやった?
「ちっちゃい頃何してた?」
みんながみんな、自分の小さかった頃のエピソードを聞きたがる。自分をどれだけ覚えてくれているのか知りたいのかな。
だから、思いつく限り話してあげる。
「ん~? 次女はねぇ。
赤ちゃん言葉って大体言葉の頭を言う子が多いんだけど、語尾を言うからはじめわかりにくかったなぁ。
例えば、『ありがとう』は大体『あーとう』になることが多いけど、『とう』とかね? 『いただきます』は『まーす』、『ごめんなさい』は『さい』とか。
面白かったのが、夜中に泣きだして『くらがない~』って言うから何かと思ったら、まくらだったりね」
「うんうん、それで? 僕は?」
「長男は、人なつっこすぎて誰にでもついていくし、お客さんが来たら必ずその膝に座りにいくし、公園では気がついたら知らないよそのお父さんにたかいたかいしてもらってるし、大変やったよ? あ、家の前で遊んでても通りすがりの人を『遊びにおいで』ってうちに連れて帰ろうとするしね」
「次、僕~」
「ん~と、次男は一番お母さんにべったりで、お母さんが用事で出かけるときおばあちゃんに預けたら、三時間でも泣き続けて大変やったって。食べ物にもつられへんし、寝ないし」
「そんじゃあ僕は?」
「三男は、言葉より先に歌を覚えたなぁ。一才半検診のとき、言葉数が少なくて、まだ『まんま』と『ぶーぶー』しか言えなかったのに、歌のレパートリーは十五曲くらいあったなぁ。
『おかあさんって言って』と言うと『おか~あさん、な~あに』と歌いだしてしまって『おかあさん』って中々言えなかったんよ」
「僕の番~」
「四男は、ホントは四十週までお腹にいないといけないのに三十二週で出てきてしまって、こ~んなに小さかったから、保育器っていう入れ物に入って毎日おっぱいしぼって持っていって大変やったんだよ」
それぞれ一番気に入っているエピソードは、何回も話しているうちにだんだん覚えてしまって、
「僕は小さいとき、こんなんやったんやな」
と自ら話し出す。そして昔話に花が咲くと、
「ねぇ、他には面白い話ないの?」
いくらでもあるといえばあるけれど、私の記憶も年々低下。どの子の話しが多かったり少なかったりするとケンカの元になるし、思い出しつつ、しゃべる配分を間違えないように、いろんな話をしてあげる。
子どもたちの大好きな時間。
幸せな時間。
・・・なんだけど、今年はあんまり話してあげれてないなぁ。カクヨムと、トリプル役員(小学校、中学校、保育園の)となんだかんだで忙しくて。
もうちょっと時間とってあげなきゃいけないな・・・。と少し反省。
育児日記出してきてエピソードを追加してあげよう。
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