弾丸
「おかあさ~ん!」
「大変! 大変!」
「来て~」
子供たちが大声で呼んでいる。大変はいつものことだけど。
見にいくと次女と次男がケンカをしている。ケンカなんてそれこそいつものことなのに。
「ごめんなさい」
ケンカの真っ最中だった次女が、やってきた私を見てケンカを中断して謝った。
「ごめんなさいって?」
何か壊したのか?
「窓に穴があいた」
・・・窓って穴があくものなのか? ガラスはふつう、”割れる”じゃないのか?
「お母さん、こっちこっち」
子どもたちが指さす方を見てびっくりした。
確かに窓ガラスに一センチくらいの丸い穴があいている。そしてそこを中心に蜘蛛の巣状のひびが直径五十センチくらい広がっている。まるで映画で見る弾痕のようだ。
「何があってこんなことになったん?」
「姉ちゃんがビー玉投げた!」
ビー玉!! それでこんなになるのか!
ものすごい凶器じゃないか! 弾丸なみってことか!?
誰にも当たらなかったからよかったものの、もし当たってたら大怪我だ。
次女をぎろりと睨みつける。
「ちゃんと当たらんように投げたし~」
と舌を出す。
そういう問題じゃないだろう?
「怪我してからやったら遅いねんで!」
「そこまでコントロール悪くないし」
悪びれる様子もない。さっき謝ったのは・・・ガラスを割ってしまったことに対してか。投げたこと自体が問題だろうに。
確かにソフトボールのピッチャーをしている次女なら、当てないのは難しくないだろうけど。
でも、当てない自信があったにしても、危険は危険だ!
なんといっても窓ガラスを貫通するほどのスピードなんだから。
この後、こっぴどく叱ったのは言うまでもない。
本当に怪我も何もなくてよかったけど、出費は痛かった。
破壊マンたちめ。どうしてくれよう。
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