熟女は基本的にボールです。 08

 畜生、脳内麻薬を楽しんでたら、シャブ中と同じく痛みを感じていませんでした。なんて、オイラもシャブ中じゃねーか。

《いや、脳内麻薬は違法ドラッグとはまた違うだろう。合法だ、合法》

(違法という響きに心打たれて崩れるのがシャブ中、脳内麻薬に浸らないと戦えないのが正義のヒーローだ)

 正義のヒーローが脳内麻薬中毒者とか子供が泣くだろうが、特に特撮大好きな少年少女、つまりは俺達の大好物、ロリとキュウリくらいの立ち位置に存在するショタが。

《ショタは泣かせろ、ロリは笑わせろ、いいな》

(お前達はショタに容赦ねーな、まあ、私もショタは消しゴムと同じ立ち位置なのだが)

 文系、それはオイラより酷い立ち位置だぞ。


「まことに ざんねんですが ぼうけんのしょ○は 消えてしまいました。」

「兄者......何言ってるの......?」

「勇者達を殺し続ける伝説の魔王を召喚する呪文さ、まあ、出現確率は低いがな」


 オイラの場合はだいたい、二割程度の割合で出現する魔王だった。

《スー●ァミで5をやるバカが悪い》

(だが、5は名作だ)

 オイラの息子は伝説の勇者。

《なんか、卑猥な単語に聞こえるからやめようぜ》

(まあ、事実だから仕方がない)


「お寝坊な坊主だね、もうお昼だよ」

「もう少し若い看護師を付けてください、金は払うんで」

「自分の妹で我慢しな」

「きゃうん」


 この婆さん、オイラ達の生態を理解してやがる。中々の猛者だな......。

《ガイヤ、マッシュ、オルテガ、ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!》

(ピクザムが量産されたあかつきには、連邦軍なんぞ)

 知ってるか? ゲルググはガンダムより高性能なんだぜ。

《おい、なんで角川の系列のガンダムには●を入れないんだよ?》

(知るか、私達の後ろには神よりも頼りになる存在が付いているということだ)


「兄者、もうお腹大丈夫?」

「ああ、痛みは感じられない。逆に栄養ドリンクを飲んだ時のような力が体の底から湧き出るような、そんな感覚だな」

「そら、おまえさん、この国一番の魔法使い兼ね占い師の回復魔法を受けたんじゃ、それくらいは当たり前じゃ」

「それはそれは、伊達に年は食ってないってことてすね」

「おまえさん、命の恩人に対する感謝の言葉か、それ......」


 感謝? ああ、感謝、まあ、この人が居なければオイラ達、牢獄に叩きこまれてたかもしれないしな、感謝しなければならないのかもしれないな。

《でも、老人に感謝の言葉を与えたとしても、先は短いのだから》

(老婆にかける言葉は皮肉だけだ)

 でも、まあ、一応は命の恩人だからお礼を言わないといけないだろ。

《じゃあ、ゴミの処理をするか》

(ああ、いらないものを渡すのはRPGの基本だもんな)


「葬式代の足しにしてくれ」

「いらんわ! 葬式代と墓代くらいは持ちあわせておる」

「金に無関心とか、老人らしくないな......」

「おまえさん、度胸あるな......」


 度胸? ああ、男は度胸、何でも試して見るものさの度胸ね。

《おまえ、俺のケツの中でサタデーナイトフィーバーしろ》

(腹の中がノリノリだぜ)


「一応はこの国で三番目くらいの権力者なんじゃが......」

「王を殺すのは奴隷と相場が決まってるんだぜ?」


 そして、市民を殺すのは市民と相場が決まっている。

《それを模して作られたのがEゲーム》

(権力者と奴隷の探りあい)

『《(究極の化かし合い!)》』


「兄者、この人は兄者の命の恩人。ちゃんと、ありがとう言って......」

「ありがとうございます。こんな金しか持ち合わせていない青いツナギのいい男を匿ってもらい。誠にありがたいとしか言いようがありません」

「気色悪い。まあ、アリアを助けてくれたから貸し借りはなしだよ」


 まあ、当たり前だ。金以外の物を要求されたら聖剣の忘れ形見で刺殺してる。

《てか、今からヘロイン野郎を殺しに行こうぜ! 子供が居なければ殺してOK、わかるね》

(だよな、じゃあ、ミャーを置いてもらって、ものの三十分で終わらせよう)


「血の気が多い餓鬼は嫌いだよ。やり過ごせるならやり過ごしな」

「兄者は絶対に人殺しにならないで......」

「......まあ、婆さんの頼みは知らんが、妹の頼みは聞き入れないといけないな。でも、ミャー、どうしても殺さないといけない時は――許してくれよ」

「その時は、わかってる......」


 にしても、本当に痛みがない。傷すら無い。この婆さん、本当に凄い魔法使いのようだな。

《だが、婆さんはストライクゾーンから外れている。期待するな熟女好きよ》

(まあ、この婆さんをヒロインに出来る奴は本物の猛者だよ。伊勢物語じゃないんだから)

 婆さんはパイプを口に含み、マッチで火をつけて紫煙を吹かす。


「おまえさん、見る限りエリア様が使わした勇者じゃない。じゃが、邪心の依代と表現するには、あまりにも力が強過ぎる。依代は基本的に無力で無気力な人間に付け入り、邪神が宿る。おまえさんは違う。そうじゃな、例えるなら現人神、の、なりかけ」

「凄い表現をするな、現人神なんて」


 いや、流石に自分自身が神様とかありえないだろ。

《冥界の神様には会ったことあるが、神様になれるほどの実力は無いと思います》

(でも、神様だったら可愛い女の子をはべらせられるかもしれん)

 でもなぁ、自分を神様とか表現されるとこそばゆいというか、膨大すぎるというか。

(まあ、日本には八百万の神様が存在していると表現されている。なら、私が神でいいじゃないか!)

《いや、神様とか絶対に激務だろ、俺達は宝くじを当てて個人投資家になって一生楽して生活するんだ》

 理系の案に賛成! オイラは楽して生活したいです!!

(本当、私達はダメ人間だな! まあ、それなら私が小説を書けばいいだけ、印税で生活できるぞ)

 流石は文系、稼ぎ頭の筆頭だな。

《まあ、そっちの方が現実的だな、俺の場合は未だに答えの出ない数式を解いたら数億円の謝礼金が出るらしい。数学はチョロイぞ》

 俺は英語教師とか、通訳くらいにはなれそうだな。語学系だから。

《(地味だな、オイ)》

 死ねよおまえら。


「だが、その片鱗は何度も見てきただろうて」

「まあ、ステータスペーパーが炎上したり、ドラゴンを二回の攻撃で殺したり、幼女に好かれたり」

「おい、最後は違うじゃろ。孫は絶対に渡さんぞ!」

「それを決めるのはアリアちゃんだ。わかるか?」

「ああ、そう、絶対に選ばんな」

「そこはもう少し警戒しろよ!?」


 女の子は悪い男に引っかかりやすいという暗黙のルールを知らないのか?

《いや、これはある意味、孫をぺろぺろする権利を与えるという引掛けじゃないのか!》

(よし、さっそくアリアちゃんをぺろぺろしよう!)


「アリアは同い年の幼馴染に恋心を抱いておる」

「ファック ファック! マザーファッカー!! ショタ野郎にアリアちゃんを奪われてたまるか!!」


 オイラはショタが嫌いなんだよ!

《よし、そのショタをぶっ殺しに行くぞ!》

(世界中の幼女はすべて私の虜なんだ!)


「兄者? 怒るよ......」

「わかってくれ! 俺は小さな女の子は愛でたいが、男の子は泣かしたいタイプなんだよ......わかってくれよ妹よ......」

「わからない。妹やめるよ?」

「さて、焼き魚定食と旅に必要な食料を購入して旅立つか」


 すまい、オイラは妹に見捨てられたくないのだ......。

《アリアちゃん、小汚い幼馴染と愛を育んでくれ......》

(だが、君の笑顔は絶対に忘れない......)

 ああ、でも、やっぱり!

《ダメだ! 忘れるんだ......》

(でもよ、私達の目的は異世界観光と美少女を誑かすことだろ?)

《語学系! 文系! お前達は優男になりたいのか?》

『(――っ!?)』

《新道道良、クラスのマドンナをすべて手中に収めた俺達の天敵、それに等しいことをやるつもりなのか? 鈍感な素振りで女を誑かし、はべらせ、キャットファイトを観戦して楽しむ魔性の男!! 貴様達はそんな人間の屑になりたいのか!? 俺はなりたくないね!》

 ......そうだな、俺達の目的は美少女を愛でて、助けて、愛することだ。

(優男のように誑かし、はべらせ、キャットファイトを観戦するような男にはなりたくない)

《そうだ、俺達は紳士。美少女を等しく、平等に、平和的に愛する変態。そうだろ?》

 ああ、そうだ、理系。ありがとう。ほんとうにありがとう。

(そうさ、私達は紳士であり、変態であり、そして)

『《(漢なんだ!!)》』

 過去の女は忘れることにしよう。

《そうだ、そして、俺達のことを真の意味で慕う美少女だけを旅に連れて行こう》

(そうだな、そうさ、無理に連れて行くのは野暮ってやつさ)


「さて、食堂に顔を出して旅の準備をしよう」

「いつもの兄者に戻った」

「いや、どちらかというと、さっきの俺が本当の俺のような気がする」

「妹や「ごめんなさい」よろしい」


 さて、ある意味、賢者タイムに突入したわけだが、クラスメートの動向が気になる。

《家から出たら死に晒せ! とかいう展開は面白くないからな》

(ああ、私達に危害が加えられるのは別に良いが、ミャーに危害が加えられたら確実に国を滅ぼす自信がある)


「大丈夫、教会の連中には念を入れておる。まあ、儂も落ちぶれたか一日しか行動を止めることは出来んかった。まあ、旅立ちの準備くらいはできるじゃろ」

「よし、じゃあ、この婆臭い家を早く出よう」

「おい、ここはアリアの部屋だぞ?」

「すーはーすーはー!」

「兄者......?」

「ごめんなさい、無意識です」


 さて、アリアちゃんの芳しい香りを楽しめたわけで、さっそく移動を開始しよう。

《ああ、めし食って、買い物して、キャロットにオクタン食料を食わせて》

(私達の冒険はこれからだ!!)

『《そのセリフ多いよな》』

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ブラックジョーク&ファンタジー 那由多 @Gusu

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