もう少し推敲と勉強が必要なのではないか、と思わせる怪文。
- ★★★ Excellent!!!
とりあえず第一話だけ読んでみたが、多々疑問点を得る事となった。一番最初に国家対国家の視点で世界動向を見る時代は終わったと述べているのに、その後に続く内容は組織だの国だのをイメージではなく内実で捉えよう(という事だと思う)という話になり、その話が国家対国家、ないし民族対民族といったイメージに囚われてはいけない、という話に繋がる。パッチワークのような論法だが、これは私の読解力が足らないだけなのかもしれないので、ここでは問題とはしない。
次に、なぜ人は戦争を行うのか? という内容を述べ……る前になぜ戦争を行おうとするのかについて語るようだ。これらは同じ意味ではないのか? なぜを積み重ねていけば物事の本質に辿り着ける、との事なのでなぜを積み重ねていこう。
戦争は集団が起こすもの→集団を作らなければ戦争は起きない→しかし人間は集団を作る→人はなぜ集団化するのか……という流れらしい。この後はつらつらと集団化の要因だの人は何故集団になりたがるのかだの自論を述べられているが、それは偏に人間の社会性であり本能的に獲得する物だ、と私は理解していたのだが、筆者にとってはそれは正解ではないのだろうか。
一々ツッコむのもキリがないので特に気になった所だけ述べるが、「砂漠のオアシス」の例え話で、2家族が1家族分の水を分け合えば争いは起きない、という理屈が意味不明である。1家族分の水しか存在しないのにそれを分け与えれば必然的に水は足らなくなるのだし、そうすれば死は免れ得ない訳だが、その様な状況でも見ず知らずの家族を助ければよい、という事なのだろうか? なるほど確かに水を巡った家族間の争いは起きないだろう、自分の妻子は与えられる筈であった水を他者に譲ったせいで死ぬかもしれないが。なるほど自分の家族が~といった「愛情の限定化」が争いの原因だと! 「家族」という垣根を取り払って助け合えと! 「オアシスの水は一家族分しかないし、人は水なしでは生きられない」が、それを理由に他者への援助を断ってはいけないと! 筆者はつまり、生存には足りない量の水しか全員に配れずともそうすれば皆争わないで済むんだからそれが最良だと仰られているようですね。争いによって誰かが生き残るより皆仲良く死んだ方がいいと。それは最早人間ではないし、種を繋ごうとする一般的な生物ですらないような気もしますが、そこも置いておきましょう。
感情が生まれるより前に愛情を持っていなければならない(愛情というのは感情の一種ではないのか? と思ったが要は前提として全てを愛していなければならないとかそういう事らしい、そう書けばいいのに)とか、感情は欲望より生まれる(欲望自体も感情の一種ではないのか? マズローの欲求5段階説みたいな事を述べたいのだろうか?)とか、全ての人の苦しみを解決する事を命題にすれば人類は争わない(暴力や戦争は人の苦しみを生み出すものなのでこれなら問題ないらしい、百歩譲ってそれで戦争がなくなるとして普通に利害対立は起こるのではないか? 飢えた人間が苦しみを解決する為に他人の食料を奪う行為はどうなるのだろう? と思ったがそうか感情より先の愛情だかで分け合って仲良く死ぬのが筆者の主張する理想の人間社会であった)とか、ロボットの例え話が何を例えているのか分からない(例えば、数台のロボットに積み木で塔を建設する、というタスクを課し、実験1では他のロボットと共同せず個体毎に塔を建設し、他の個体の建設する塔を破壊するよう指示する、実験2では他のロボットと共同して塔を建設させるよう指示する、その結果実験1では何も完成しなかったが実験2では塔が完成した、とかそういう話であればまぁ分かるのだが、「攻撃するようロボットに命令したら攻撃した」「仲良くするように命令したら仲良くした」というA=Aみたいな事を例え話だ、と言われても何を例えているのか全く読み取れなかった)とか色々あるが、つまるところは「汝の隣人を愛せよ」という事なのでしょうか。少なくとも私はそういう風に読解しましたが。「宗教及びスピリチュアルは関係ない文章群」の割には、(非常に大まかな)話の骨子は聖書の内容と代わりないように思えます。筆者は26年かけて聖書を読了なさったのでしょうか?
話の中心が反復横跳びでも行っているのかの如くブレまくりますし、正直真面目に読むのも馬鹿らしい怪文です。多分酔った勢いで沢山お書きになったのでしょう、お体はご自愛下さい。そして、酔いが醒められましたら、先ずは社会学という学問にお触れになるのはいかがでしょうか。宗教やスピリチュアルだけでなく、心理学や哲学についても触れない文章だ、との事ですが、人間がなぜ戦争を行うのか、という理由を心理学抜きで語るのは不可能だと思いますので(そもそも感情だとか欲望だとか仰られていたがそれは心理学の範疇でしょうに)、そちらに対しての見識も深められました方が、よりまともな結論を導き出せるのではないかと考えます。文章もわざと読み辛くせずとも、読者に伝わり易いように簡潔に書かれた方が宜しいですよ、読み辛い文章=高尚な文章という訳ではないのですから。
第一話を読んだだけで論ずるに値しないレベルの駄文だという事がはっきり分かる名文ですので、☆3とさせて頂きます。