第2話 目覚めて

「……ぅう?ここは……どこだ?」

 落ち着いて周囲を見渡すと、見覚えのない森が広がっていた。


 木々の高さは自分の背丈を何倍も超え、枝と葉で空すらロクに見れない。方角もさっぱりだ。


 嵌められた、くそったれ。俺は心の底からそうおもった。 


 取りあえず気持ちを押し込んで、何か役立ちそうなものはないか探した。


「....ない、ある訳ないか」

 役立ちそうなものはおろか、自分の着ている服しかないと言う惨状だった。


 俺は救助を待つかどうか選択を迫れた。しかし、連絡手段もないし、そもそもここは異世界、救助してくれそうな組織自体が存在しない可能性も十分ある。野垂れ死にする可能性もあったが、あるどうか分からない救助を待つよりましに思えた。

 そうして俺は当てもなく歩き始めた。


 とは言っても、深い森の中を当てもなく動くのは自爆行為に等しく。半日歩いても出口はおろか人一人見当たらなかった。


第一章

異世界転生

1-1 




 突然異世界に転生させられ、深い森の中動き続けること半日。俺は完璧に遭難状態に陥っていた。


 あれだけ地を照らして太陽もすっかり暮れて、森の僅かな隙間から星が俺を見つめていた。


 あぁ、こんなことになるんだったら、きっぱり断っておくべきだったなぁ、

俺は心の奥からそう思った。


 しかし過去は過去である。今更後悔しても遅いのだ。逆に考えるのだ、今、俺はこんな大自然の中にいるぞ!こんな大自然、日本には絶対ない、異世界じゃないと体感出来ないぞ!


 とか考えたけど、完全に逆効果だった。異世界ならではの大自然も、命の保証がなきゃ楽しめる訳がない。駄目だ、もう歩る気すら失せてきた。


「よし、もうやめ!」


 俺は歩くのを止め、思いっ切り寝転がった。

その時ふと疑問に思ったのは、今まで人はおろか動物にすら出会ってないと言うことだった。 


 いくら異世界といえど、こんなに深い森で、動物にすら一回も遭遇しないのはおかしい。自分の正体すら分からない以上、半日も歩けたのはもともとそういう身体だと説明がつかないこともないが、こればかりはどうしても謎だった。何か理由があるのか?


 しかしながら、こういった事を除けば決して悪くはない場所である。 


 音は環境音のみ、光は夜の星空だけ、自分が今までどんな環境で生活していたのかは分からないが、不気味な要素は否定できないものの、ここの環境自体は素晴らしいと思った。


 命の保証が有ればどれほど良かっただろうか。そんなことを思いなが思いっ切り脚を伸ばした瞬間   


 

 辺りの木が飛ぶほどの突風と、突然の激しい地震、そして大きな爆発音がした。その衝撃で俺は吹き飛んだ。

「イテテテ」

 数メートルは飛んだにもかかわらず、俺はかすり傷で済んだ。 



辺りを見回すと人型の何かが2つ目に留まった。


「・・・・・!!」


 そこにいたのは人で、周りが暗すぎる為ため顔などは分からないが、一人は中世ヨーロッパ風の魔法使いのような格好をしていて、もうひとりは機械化された体を持つ、俗に言うサイボーグだった。


「こんな所に人がいるとは、よりよってこんな時に」


サイボーグは独り言をいった後、俺に向かって


 「おいお前、とにかく全力で逃げろ」

 と言ったが、余りにも急展開過ぎて状況が呑めない俺は驚きのあまり一歩も動くことができなかった。

すると背後の方から何かが飛んできた。


「ウォォオオオオ・・・」 


獰猛な肉食獣といったような声が聞こた。


「!!!!!」


 後ろを見ると見たことのない怪物がそこにいた。

暗いので姿ははっきりしないが二足で立っていて、大きさは少なくとも6m以上はある。まさしく怪物だった。そして、物凄い嫌な感じがする。


 俺が怪物を認識した瞬間、奴は俺を殴りかかってきた!

「うああああ」


 情けない大声と共に俺は奇跡的な瞬発力で回避した。 

 するとサイボーグは奴をぶん殴った。殴ったと同時にサイボーグの腕が閃光を放ち、怪物は何百メートル先までふっ飛んでいった。


「いまのうちに逃げろ」


 そう言われた俺は全速力で逃げ出した。しかし、黒い動物は直ぐに立ち上がり、もの凄いスピードでこっち側へ走り始めた。


 こちら側に向かってくる怪物にサイボーグは強烈なキックをかました。真正面の激しい衝突、その衝撃波だけで周りの木は根から吹き飛び、地面には大クレーターが生まれた。


 その直後、何かが飛んできた。飛んできた物体の正体が見えたとき、俺は再び足が止まってしまった。


 飛んできたのはあのサイボーグだった。腕と脚は完全にぐちゃぐちゃになっていた。これだけの力を持つサイボーグでさえ、怪物の力にはかなわなかったのだ。 


 その直後に怪物は俺を飛び越え、目の前に現れた。その時の衝撃で俺たちは数メートル後ろにふき飛ばされてしまった。


 怪物は俺たちにトドメを刺すべく、一歩づつ、近き始めた。 


 怪物はどんどん近づいてくる。もうだめだ、逃げ場ない。そういえば、あのおっさんはチートくれるっていったよな。もうそれに賭けるしかない。


 俺は怪物から逃げようとせず、そのまま突っ立った。


「よ・・・よせ・・逃げろ」

 サイボーグは止めたが俺は逃げなかった。 


「ウオオオオオオ」


 奴の拳が俺に向かった瞬間、サイボーグの視界は砂埃の壁で塞がれた。

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異世界召還でチート貰ったけどクッソ大変な目にあった件 @1234535

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