【弥助騒動】一人の力は小さくてもそれが集まれば…悪夢へ

 弥助騒動とは何だったのか?


 今考えるとどえらい騒動だったよなぁ、とか思うんよ。もう、最初期のムードとかはさ、ちょっとありえんくらいアウェーだったし。ロックリー史観が完全に浸透しちまってる状況で、「日本人は自分の国なのに歴史を知らないなぁ、」なんて言葉がさ、これ…


 出てきてた状況やで。怖すぎる…


 ほんと、肝心のロックリー氏ご本人が「なろう小説」並みの文章で書いていたことと、アサクリが「クソゲー・オブ・ザ・イヤー」並みのPVを出してくれたことで、なんとかギリで挽回できたって感じだった。


 最初の頃は、海外のアサクリファンが「なんで黒人を主人公にするんだ!」とキレているという認識しかなかったんだよね。またアンチの黒人拒否かぁ、なんて捉えてる人も多かったと思う。彼らがそれを【日本人差別だ】と言っている意味を、この時点で正確に把握してる日本人はたぶん居なかった。海外で起きていることが解ってなくて、暢気に構えていたよね。


 ●たかがゲームの配役くらいのことで、とか。

 ●フィクションだったら別にどんな表現をしてもいい、とか。

 

 そういう隙を突いての、まさかの【】が隠されていたっていうオチだよ。(これも表面的なモノで本当じゃない)


 ロックリー氏ご本人すら、実はこの主義者らに唆されていたんじゃないのかという疑いさえあるんだよね。でないと、失礼なこと言うけど、あの「なろう小説」でこんな陰謀を起こすとは考え辛いわけよ。ほんとに単なる「弥助SUGEE本」だからさ、中身は。そう見えてしまうんだよね、表層的な見え方としてはさ。


 まるで何かの陰謀が蠢いていたんじゃないか、という風に見えてたのがこの事件の特徴で、だけど本当のところはたぶん完全な「偶然の一致・偶然の連動」ってヤツだと思う。


 だけどこれ、陰謀なんかよりもっと恐ろしいことが起きたんだよ。


 てことなんだよ。


 この真の恐ろしさに気付けるだろうか。特に今は、思想面でもの凄い影響力を持った社会運動が起きていて、これと連動することで「個々人の持つ小さな力」がより波及しやすい状況を作ってる。


 個々人が正しい方向性での「オラに力を分けてくれー!」をすれば、それはとても感動的な最終兵器にもなるってことは、多くのエンタメがテーマにしてたけど、実はその逆だってあるんだってことを今回の事件は如実に表層化させたんだよ。


 人々のこれは、善意とかアコガレとか希望だったりもしたはずなんだ。「弥助という黒人侍がいたんだ」というドリームを、純粋に、ひとかけらの悪意もなしに応援しようとした人も大勢居たと思う。


 そういう個々人の善意が完全に反転して、悪意の権化と化したのがこの騒動だ。




 …むしろ、悪意を持って弥助の虚像を保持しようとしてた人なんて居ないんじゃないかな。日本の外務省が、アフリカとの政治キャンペーンを打った時も善意しかなかったろうし、それを受けて「アフリカン侍」って世界的にフィーバーしたのだって、関係者のひとりひとりは別に悪意なんか無かっただろう。


 だからこそ、恐ろしすぎることが起きた、というんだよ。

 人の善意が反転したんだ。

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