【弥助問題】史実で弥助が重要だったとする説、考えてみる

 アレだろ。この騒動って、どうにかして「弥助は日本史で重要な存在だった」ことにしないと収まらないんだわ。だからちゃんと史実を踏まえた上で、妥当なラインの弥助重要人物説っての作ってみるよ。


 侍じゃなかったことが重要だったかも、とする一説ね。




 こないだコヤッキーさんが動画で、弥助の陰謀論説を紹介してくれててさ。それは弥助がイエズス会の送り込んだスパイだったのでは?てヤツだったんだけど、それを聞いてて「ピコーン」ってきたよ。


『弥助が信長と宣教師を中継してた説』ね。


 まず、日本史上最大級の謎とされているのが「明智の動機」ね。本能寺の変を明智光秀が起こした理由が不明なままです。これは前も書いた。


 でももう一つ、実は謎になってることがあるの。それは、信長は将軍義昭をなぜ追放したのか。ここもストンと腑に落ちるような理由ってのが解ってない。信長は、イメージと違って実は権威の守護者だったから、朝廷も幕府も蔑ろにしたりしてないんだよね。なのになぜか義昭を追放してる。しかも、殺してしまった方がいいのに殺してもいない。これはどうにもおかしい点なんだよね。


 で、今回の弥助騒動、完全に忘れられてるけど、朝廷の存在ってのはとてつもなくデカいんだよね、当時。なんせ勅命一つでこの信長を滅ぼせる権力を持ってるから。号令一つで多くの戦国武将が喜んで信長討伐に馳せ参じるわけよ。


 だからいかに信長といえど、朝廷や公家衆の意向を無視することなんかできっこないんだよ。特に京都近くにいると。そんで、この朝廷や公家衆ってのは、時代を通じてずっと超保守なんだわ。これ、すっごい重要と思う。


 そんでさ、この朝廷や公家衆と歴史的に強固に繋がってる勢力ってのがあって、それが「寺社仏閣」ね。これ、宣教師たちとは完全に敵対するんだわ。説明要らんよね。


 だけど、遠く九州あたりでは既に宣教師と通じた諸大名たちが着々と武力増強を果たしてるという情勢ですだよ。日本の戦国武将たち、ものすごい情報戦の中で動いてるのが解ってきてるからね。鉄砲は絶対に欲しかったし、それを国産化することも計画の内だったろうし即実行に移してる。


 でも、硝石だけは作れなかった。てか、たぶん製造方法が秘匿されてたんだと思う。後にはこれも国産化してるし。ここには宣教師や外国商人たちとの駆け引きみたいなのが、まず間違い無くあると思うし。


 信長としては、日本統一の為には何が何でも外国商人との貿易をやらなきゃいけなかったんだよ。九州勢を制圧することも視野にあったろうし、そうなりゃ武力増強で、九州の大名たちと同格かそれ以上の外国産の、新兵器は率先して入手しないといけないし、そういう情報にもいち早く通じてないといけない。


 だけど、信長は京都守護で帝の傍にいなくちゃいけない。帝は、超保守。伴天連を日本になんて、絶対に許すはずはない。背後には寺社仏閣勢がいるわけだし。だから都を刺激しないようにギリギリを測って貿易するしかないんだよ、信長は。


 それを叶えてくれる存在が「弥助」だったら?


 表向きは、「黒奴(黒人奴隷)を贈った」としているけど、その実体は信長と宣教師たちを繋ぐ通信士みたいな役割だったのではないか、とも取れる。黒人だと目立つけど、彼が街中を歩く必要はないわけで、それこそ草の者が伝令をすれば、信長は家臣たちにも悟られずに宣教師たちとツナギをつけられるって寸法ですわ。


 つまり、家中においては弥助が信長に宣教師たちの書状の受け渡しをして、一歩館から出た外では忍びの者が書状を宣教師に届ける、と。その為、むしろ弥助は下級士族の門番、中間衆の位でいた方がいい。門戸の近くをうろついてても不審じゃない。


 そしたら、常に信長の傍に控えていたらしきことにも、それでいて位は低かったのではないかということも、本能寺の変が起きた時に宣教師たちがあれほどにヤキモキしていたことにも説明がつくよ。


 弥助が口を割ったら、すべて露見して宣教師たちも誅殺されかねないし。誰が信長をハメたのか、光秀が知ってたのか、それらはまったく謎のままだけど、一つの説としてはあり得ないですかね?



 奇妙な点ならまだまだあって、例えば後に天下人になった秀吉はまるで隠すみたいにこの信長を祀る神社をひっそりと作ってる。でもそれはまるで人々に早く忘れさせようとするかのように、相応しくない場所に建ててるんだよね…


 信長が、宣教師達と通じて何をしようとしてたのか、それが誰にとって都合が悪かったのか、それはもう説が乱立してしまうから触れないけども。

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