【弥助問題】「侍」は日本語特有の「曖昧表記」では?

 断片的なパズルのピースを拾い集めてきたら、なんかこの事件は双方の誤解とかかなりあるぞ、これ。特にロックリー氏の件と海外Wikipediaの件は、日本側にもやらかしがあることが判明したよ!


 岸田首相が事務次官だった頃に、アフリカ外遊で「黒人侍」発言しとる!


 そりゃ政府もマスコミもテンション低いはずだわ…


 オマケにCNNもやらかしてて、日本文化紹介の時に「黒人侍」と明言しちまったらしい。インタビューした相手が、侍と言ったかどうかはまだ確認出来てない。


 さらには、英語表記だと「武士」も「侍」もSAMURAIだとか言うし。フランス語だと二つの単語はちゃんと区別されてるらしいから、ホントなぜだとしか。



 そんで、そこまで聞いてふと気付いてしまったんだよ。


 日本語には「曖昧表記」という特徴があるって!



 日本語が世界有数の難解言語たりうる理由のひとつ、「曖昧表記」に相当するんじゃね? この「侍」という単語。考えれば考えるほど、これっぽい気がしてきた。


 文脈の中とか使用される場で、その意味が変わってしまう単語だよ、「侍」って。


 それが誤解を生んだんだわ。


「サムライ」って言葉は、大まかには武士階級全体を指すことがあるよね。「武士」「もののふ」「士族」「士分」「侍」、私が知ってる限りはこの五つだけだけど、それらは引っくるめで「サムライ」って呼び習わされているところはあるよ。


 本当は天皇など貴人に使える侍従のことで、役職的な意味合いのはずなんだよね「侍」という言葉は。それが転じて、上級武士階級を総じて「侍」というようになり、「武士」というのは野伏せりとかから転じたとか、検非違使とかの時代に登場した武士団から始まったとか、区分がけっこうキッチリと決まっててさぁ。


 そもそもで武士でも侍でも、教養ってのが求められて「和歌」「漢詩」「茶道」などなど、時代によってはこれまた履修の重要性が代わるけど、そういうものを持たないサムライなんてのはまず居ないんだよねぇ。幼少期から学問やるし、て。


 だけど庶民になるとそんな区別はナシに「お侍さま」で統一感だわ。


 この曖昧表記ってのをまず理解してもらわんといけないってことじゃなかろうかね。岸田首相が言った「黒人サムライ」って言葉もぜんぶ引っくるめの意味合いで言ってるし、マスコミも、あるいは通常の日本人が使う言葉もサムライ呼びだわ。


 それはだけど、解ってることだからなんだよね、これが曖昧表記の面倒な点でさ、「侍」と「武士」は違うってのは歴然とありつつ、どちらを使うかが適当でもOKでさ、そういう使い方するんだという納得をしてもらうしか、て感じで。(笑


 でも混同したらアカンのよ、「侍」と「武士」は厳密には違うから。




『イエズス会の当時の記録である一次資料には、弥助はインドのポルトガル領ゴアで洗礼を受けたのはエチオピア支配階級の息子で、宣教師が護衛としてインドから連れてきた黒人キリスト教徒3名の内の1人。体格が良く、愛想が良く道化ができる黒人と記載があります。』これ、イエズス会日記だったかに載ってる原文ですよね。


 これによると弥助はエチオピア人で支配階級の出自だったということになるし、護衛とも書かれてる。ただ、当時の奴隷制ってのがどうだったかまではこの文章だけでは判別出来ないんだよね。奴隷じゃないならなんで信長に譲られたんだ、て。


 この、確定事項とするには史料が少なく確証が得られないから「不明な点が多い」としているだけなんだけどねぇ。



 弥助に苗字がないとか、弥助は下層の名前だとか、言うんだけど、それは後々出世の見込みがアリアリだった日本式の身分制度だとあんま意味なくない?

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