気管支炎で半分死んでました。この間に二冊読了。

 気管支炎でゼーゼー言いながら、熱の出てる間は脳みそまで死んでたので、まったく使い物にならずに文字通り完全死して盛大にバグってました。


 いや、熱に浮かされるという状態はああいう感じですか。


 脳みそバグりますな、いやはや。


 自主的な思考を維持できないので野放しにしてたら、自然に半壊状態の思考が野放図に垂れ流されて、奇怪な曼荼羅を描いては上塗りして螺旋を築き、その螺旋が砕けて崩壊した先にまた曼荼羅が出現する、というワケの解らん状況になってました。


 しかもその過程をただ無感情に構築している時間がすごく楽。ここにはしっかり意識が生きていて、「穏」という状態で保たれているのでそれが一番楽な思考でした。


 あの曼荼羅は見事だったなぁ。意識的に描き出すことはとても出来ないけど。



 苦しい期間中の、眠りとうつつの合間にあった幾ばくかのその時間だけがなんか楽な時間で、眠ったら眠ったで一瞬のうちにはもう目覚めに繋がっているから、これはもう無いようなモンで、本当にシンドイ闘病生活でした。(笑


 いや、風邪こじらせての気管支炎程度で闘病生活言うてたら怒られるわな。とにかく咳と痰と鼻水と頭痛と喉の痛みと心なしか胸のあたりがヒューヒュー言う気がする恐怖心とでほんとに苦しかったです。肺炎になってんじゃないかと……


 それにしてもつくづく体力の無さを痛感しまして、いや、人間やっぱ体力だよ、アニキ。体力がないと死ぬよアニキ。家族の中でただ独り、またしても重症化で痛感。


 というわけで、日々、もう少し体力作りに勤しもうかなと反省したこの十日間でした。いや十日も寝付いてたんかい、と自分でビックリ。




 そんなこんなでラスト二日くらいはそれでもちょっとはマシになったものの、ぜんぜんマシンに触る気になどなれず、パソはもちろんケータイも放置、ゲーム機なんか触れるわけがない、という状態で唯一、開く気になれたのが単行本。


 あの小さな冊子ひとつくらいなら手に取る程度のなけなしの気力を振り絞って、それでようやく積ん読本のうちの一冊を読んだんでした。


 もうね、分厚いヤツは最初からムリなの解ってたんで薄いのから。


「氷菓」これ、ずいぶん前に入手してたのにずーっと読めなかったんだよね。この機に読みました。


 いやスゲぇ話だな、こう、主人公がイチイチ鼻について読みにくいのを置いても、キャラが今ドキだよね。わりとこの頃は流行りだったんですかね、このヤレヤレ主人公というか、俺は動きたくないんだけど仕方ないなぁ系主人公というか。


 そうかぁ、こういう主人公が地の文に居るとこんなにムカつくんですね、てのを体感させてもらったよ。いやものすごく作者さまに失礼な感想なんだけども。


 ちょっと思い出したのが以前に読んだ「元彼の遺言状」の主人公で、彼女もまぁアクの強いタイプだったけど、ここまでムカつく感じではなかったなぁ、と思って。これはたぶん読み手がどんなタイプが嫌いかってトコに掛かってるんだろうねぇ。知らんけど。同族嫌悪とかね。


 もう一冊もなんか主人公のアクが強くて、最初は健気で応援したいイイ子っぽかったのに途中から雲行きが怪しい感じの語り手になっちゃって、アレレレレ?て戸惑ったけども、ストーリーテリングの見事さで、その頃にはガッシリ興味を鷲掴みにされてたからたぶん嫌いな主人公でもそのまま読み進められる仕掛けだろな、みたいな。


 それが二冊目の「レモンと殺人鬼」で、こっちはもう小技に富んでて見事な作品だったよ、技巧のデパートって感じで。私はもう構成が弱点って自分で解るくらいそっちはダメだから、構成の妙ってのはからきし解らんのだけど、小技がもうこれでもかと出てくんのは解る。ただ、小技を詰めすぎてキャラ立ちがそれぞれ小粒になっちゃったよーな気がすんのは勿体ない気がしたなぁ。私だったらどっち取るだろう。


 ただ、叙述ってのを私は根本的に感覚を間違えてたのかも、てのを感じたわ。構成にかかるトコがやっぱほんと苦手というか、まったく理解出来てないのかも知れない。読み込みがぜんぜん足りてないんだろなぁ……という感想でした。どうもミステリとか特にだけど、小説読んでも前みたいに素直に読んでないよね、もう。(苦笑


 構成、てか、実際は思考回路なのかも。人並みの思考回路に沿った物語展開にすりゃいいとこを、なんか自分の思考回路がヘンテコリンだからヘンになってて、それが物事の順序に現れて、それで構成がヘン、という感じなのか、もしかして、とかまで考えたり。いや考えすぎよな、怖いわ。それだったら処置ナシじゃん、怖すぎ。


 自分と違う人間が書いた物語が自分と違う解釈とか話運びをして自分と違う感触の物語が出来てそれが自分と違う人の数だけぜんぶが違うんだったら構成だの何だのに正解は無い。だったら自分がヘンテコリンの少数派だった場合のこの構成の奇妙さは直しようがないってことなんだよな。平均を探るにはどんだけ読み込めばいい?


 めんどうくせぇなぁおい、てトコロで熱がまたぞろ上がって、つらつらと考えていた色々を簡単に手放してしまえたりしたのも、やっぱ半病人の為せる業ですかね。


 フレディ・マーキュリーの流し目がドアップでなんちゃらネバーと叫んでる。

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