「日本シナリオ作家協会」まで炎上…orz

「原作者じゃなく、原作とだけ向き合いたい。」


 問題発言で大炎上だそうで。これ、批評家界隈の文言なので誤解は解いておきたい。ぜんぜん本来と違う意図で発言してるような気がするんで。



 けっこう有名な考え方なのよ、「作者と作品は切り離すべきか否か」てヤツ。


 これも別のエッセイで死ぬほど擦り倒したやつだわー。もう考えんのヤダ、てレベルまで散々考え尽くしたヤツね。


 批評家は作品とガッツリ向き合うもんだから、「作中作者とリアル作者は同一か?」問題とか、「リアル作者が歳取って変節したらどうなる?」問題とか。


 色々、派閥というか解釈の幅があるけども、


「作中作者とリアル作者が切り離すべきでないなら、リアル作者の普段の言動および行動は作中作者に影響するので、作中作者の思想はリアル作者の普段の言動および行動をも分析して結論を導き出すべきか?」問題なのよ、これ。


 でもこれ言った脚本家さん、この批評論では「リアル作者を居ないものと想定してるわけじゃない」てのは理解してないかも知れない。


 あくまで「リアル作者はどう思ってんだろう?」から始まるのよ。


 だから、作中に見え隠れする作者の意図は、これはリアル作者の意図なのか、それともリアル作者が作中だけに設定した作中限りの作者の意図で、これは固定されているのか、それとも経年や揺らぎまでが計算ずくなのか?とかいう、しち面倒臭いことを考えているだけなんだよ。


 どこまで言っても、批評論で見据えてんのは「リアル作者の意図」。


 そんなモン、作者に聞けとか言われるかもだが、だいたいの作者は「そんなの考えたことないwww」とか言うんだよ。だから、作者が無意識で込めているような部分まで徹底的に洗い出そう、ていうのが批評でさ。


 そらもう、やる時はもう、作家の育成環境から交友関係から趣味趣向まで徹底的に洗い出すよ? どこか何かで発言した言葉とかは全部分析してさ。作者が何考えてコレ書いたか、て、すごく大事じゃん。


 だから「作者と作品は切り離すべきか?」はあくまで「作者すら知らない作者の中に潜む『真・意図』を探り出す為の方便」で編み出されたヤツですわ。


 作者の無意識をなんとか抉れねーかな?から来てますのよ。リアル作者が何考えてコレ作ったか、てトコに拘りまくってるから。


 そういうトコ理解した上でこれを言ったんなら大したもんだけど、違うでしょ。




 奇しくもアメリカじゃ、人気作品がWoke思想PRの為に設定変更して制作されるっていう流れがさ、国を二分する勢いでアメリカを分断してるし… アレに比べればまだ全然マシとは思うんだけどさ。かぶれてない分は。あっちはもう戦犯の連中が被害者ムーブでヒドいもんだもん。(お陰で日本の漫画が売れに売れたワケですが)


「ローカライズ」とか言ってさ、日本のアニメの台詞をさ、向こうの翻訳者さんがさ、勝手に自分の信奉する思想をPRする台詞に置き換えて、それを放送するとかもあった。ファンの間で大炎上したヤツね。「仕事しろ!」て。


 向こうでも同じこと言われて批判されてる。「オリジナルでやれ!」て。

 脚本家さんたち、これどう思う?


 なんだろうね、この符号は。とかも思うよ。

(過去の偉業に対するこの無礼は思想の元が悪名高い共産破壊主義を内包してるからで、自分たちだけが正しい、他は間違いだから矯正してやる!てヤツだからだけど、脚本家界隈はどうだろね?)



 最後に、誰だったか日本人の著名な翻訳家の女性が言ってたことなんだけどさ。


 ローカライズっていうのは、時に現地の文化に合わせて設定を変更したりすることもあるんだって。それは日本の喩えよりも現地に同じ意味の喩えがあるならそっちの方が馴染むからで、あるいは日本の文物では伝わりにくい表現を現地のもので、出来るだけ原作に近いカタチで落とし込むんだ、と言ってらしたよ。


 最近聞いた見事なローカライズだと、フリーレンの英語台詞かな。自分の首を落とせみたいなこと言われたあの子。あの子の台詞が見事だったらしい。www


 そういうトコにローカライザーのセンスが光るんだよね。それが評価される。


 原作がある時はさ、脚本というより「ローカライズ」をする意識じゃないとダメだと思うよ。出来るだけ原作の意図は変えないよう、サイズダウンしたり表現を置き換える作業をするってことになるんだと思うよ?


 長編連載の何十話もある作品をローカライズで十話にまで凝縮してドラマに落とし込むって作業。映画だったら二時間とかだから時期で切り取るとかだよね。


 その作業で必要な意識はまず「原作者は何を考えたんだろう?」だよ。


 そこからしか始まらないじゃない。原作者の意図を踏まえて出さなきゃ肝心の原作ファンを取りこぼす。それじゃタイトルを借りる意味ないじゃん。


 カクヨムだと小説家ばかりになるから、アニメ化ドラマ化の前にコミカライズもあるけども、なかなかヒドいのあるよね。(笑




 視聴率とか部数売り上げとか、成功すりゃいいってモンじゃないんだよねぇ。

 (その数字が出せた人ならちゃんとローカライズしてたら倍売れてる)




https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/02/02/kiji/20240202s00041000276000c.html#goog_rewarded

『「逃げ恥」脚本家 原作者&テレビ局の関係について私見「テレビ局は――』


 よくぞ答えてくれました。それが聞きたかったんです。組織で動く、それもテレビ局という巨大な組織となれば上意下達の時間だけで「大変なロス」だということが。


 上に順々に話を上げていく時にもっとスマート化を図るなり何なり、改善法はあると思うのでこれからテレビが変わっていくことを期待したいと思います。

(繰り返しだけど、みすみす獲れる視聴率を逃しているんだから、という意味です)


「海猿」の件も読みました。でもあの時代とはもう違います。

 ネットによってあっという間に暴露されてポシャる時代なので正道が勝ちの近道だと思います。今や極大ヒットを飛ばしているのは原作に忠実な作品ばかりです。



 けれど、現場の実情が垣間見えてきたことで、世間の風当たりも変わると思います。隠そうとしても隠しきれる時代じゃないから。



さらに追加情報。

https://www.youtube.com/watch?v=G-wEy7niWLc&t=1714s

『【密談、特別編】緊急対談:原作者と脚本家はどう共存できる――』


 吹き上がらずにとにかくこの動画を落ち着いて最後まで聞いてほしい。件の発言「原作者じゃなく原作とだけ向き合いたい」がになってしまって一人歩きしてしまっている状況なのがはっきり解るから。


 それと、新たにプロデューサーが仲介者の仕事で折衝しないといけない事情も語られるが、そのプロデューサーも多忙を極めており手が回りきらない辺りのことも語られるので、早とちりせず、じっくりこちらの動画を観てほしいと思います。


 今回の件、ドラマの脚本だけでなく色々とテレビ局内部の各方面も他人事と思わず耳を傾けてほしいなぁ。きっとテレビの信頼回復にも繋がっていくと思うから。

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