【本当の女性差別表現】冷蔵庫の女 ③

「冷蔵庫の女」というシチュエーションは、その漫画単体で見たならば別に女性差別には当たらないことを注意してほしい。今でもそれに類する展開なんかゴロゴロしてる。チョロインとかはそれの揶揄だし。だけど、あくまで個人の価値観でしかない。その作者が、あるいは制作陣が、そういう価値観だと見做せるというだけの話だ。


 当時のフェミ団体などが問題にしたのはだから、表現された作品や展開そのものではなかったんだよ。


 そっちじゃなく、当時の「風潮」。


 冷蔵庫よりもっと露骨で深刻だったのが、「善男善女は白人の美男美女」という価値観だった。黒人は悪党、黄色人種は小悪党かマヌケなピエロ役という具合に、世間が求めるクリエイティブの幅は固定されていた。不細工は不細工役でしか出番はない。欠損のない平均値以上の容姿だけが画面に映し出された。


 この固定は、悪循環が生み出したものだとして人権活動家たちが声を挙げた。


「多様性」がないことを、当時のフェミニストや活動家たちは訴えたんだよ。右を見ても左を見ても、軽視される女性キャラと固定された役割分担、これは世間が認めていた価値観に沿ったもので、その価値観に逆らったり一石を投じたりする作品は、業界構造の欠陥によって光が当てられる機会がほとんどなかった。


 その「全体の割合」を問題だとしたんだよ。この割合は、差別を助長する、て。



 実際に、ケインコスギとかが証言を残してるけど、白人以外のアクターは本当に仕事で格差を付けられたそうだ。必要とされるのはモブに至るまで白人ばかり、てね。


 シュワルツェネッガーも、これとはまた別の人種差別を証言したことがあった。彼はアイリッシュだったが、訛りがあって、なかなか役者として芽が出なかったと回想している。人種差別が非常に細かな枠で行われていたってことよな。


 差別を許せば、さらに細かく人々を枠で仕切ってエスカレートしてくわけで、それがよく解る状況にあった。


 通行人までが白人ばかりの画面でないと気持ちよく見られない、なんて訴えがあったわけではないだろう、勝手な忖度とかが働いてのことで、だけどそれが常態化したら、そこから動くには切っ掛けが必要になったということだ。


 その切っ掛けを作ったのは、各種の人権運動だった。



 次にはこれを取り上げねばならないね。今年も7月の動きだったのか…


【共同声明】「フェミニスト原則の再確認を呼びかける」

 https://swashweb.net/2021/07/12/post-906/


 ↑これに対する反対勢力の棘マトメも上がってるようだ…

「これがフェミニズムだというなら、私はフェミニストではない」

 https://togetter.com/li/1744776


 うん、そうなんだろうね。



 一番自由な状態って、誰にも注目されない時だから、それに耐えられない弱い人間は繋がりたがる。繋がるって、束縛なんだよね。誰にも注目しなくていいことが自由。誰にも注目されず、自分も誰も注目しないのが、究極の自由。


 周囲がゴタゴタ言うことは無視したらいいが、

 自分もゴタゴタ言ったことを聞いてもらおうとするな。

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