【本当の女性差別表現】冷蔵庫の女 ②
「冷蔵庫の女」というのは、どういう表現を指したのか?
これは表装ではなく、シチュエーションだった。普通に見れば普通に感動的なシチュエーションで、「ヒロインが突然交代してしまう展開」のことだ。
ここで重要なのは、「突然」ということ。
言葉の元となったのは、ヒーローモノでヒロインを張っていたある女性キャラが、連載途中で悪漢に殺されて「冷蔵庫に詰められた」シーンだった。それだけなら、悲しみに暮れ、復讐を誓い、そして成し遂げるヒーローに共感して終わりだった。
だけど、連載はその後、新しいヒロインを登場させ、あっさりとヒーローは悲劇の前ヒロインを忘れて、新ヒロインとイチャイチャしだしたわけですな。前ヒロインはその後、面影さえ登場しなかった。
この違和感に、気付ける人が当時は少なかったらしい。(笑
物語は最初から一貫しているべきで、その流れが突如脈絡なく変われば、熱心な読者なら勘付くもんなんだよね。物語を熱心に読んできた人ほど頷けるはず。
これは、物語の最初からの予定ではなかった、ということを指してる。つまり、連載中に何らか展開とは無関係な理由で、ヒロインは退場させられたということ。それも、あたかも、「一番切りやすい存在から切ろう」という考えでもあったかのように。「スペアを取り寄せて交換しよう」という思考が隠れていたわけよ。
切った理由が、「読者に飽きられる前にカンフルを」という考えから。
ちょっとした刺激を与えることで作品の延命を図るってことね。その手軽な方法としてよく使われたのが、「ヒロインの交代」だったってことよ。ヒロイン、もう一人の主人公とか表立っては持ち上げて、実際には幾らでも換えの利く部品だったってこと。一番先に切られるお手軽な物語構成要員。
女性は守られるべき、とかいう価値観はひっくり返したところの「男がポーズ付けるための道具」という側面をモロに曝け出したのが、この『冷蔵庫の女』だった。
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