宮崎事件以前のオタク界隈の記憶…

 宮崎勤が世間一般にオタクという存在が居るということを暴露拡散させたが、その宮崎本人は決してオタクではなく、彼は捏造されてオタクだと言われただけだという話はどっかでしたと思うんだな。


 マスコミが捏造したわけだが、マスコミが捏造したのはもちろんウケ狙いだ。つまり、当時の世間においてはすでにオタクは蔑視対象として確立されていたわけ。誰もがオタクに眉を潜め、嫌悪していたよ。その嫌悪を当然と思うほどに世間の多くの人が疑うことさえせずに蔑視していたわけよ。日本における堂々たる差別で、色々都合の悪い恥部だから隠したがるけどね。


 別にウェイ系とかサブカル系とかだけが蔑視してたんじゃないからね? 社会全体が、オタクと聞けば嫌悪感を露わにしていたの。


 で、オタク社会の中では何が起きていたかといえば、正確にはたぶん、


『犯人捜し』


 どうして我々はこんなに迫害されねばならないのか、という怨嗟があってね。そんなに害悪な趣味だなんて誰も思えなかったんだもん。そしたら、戦犯がいるはずだ、となるわけですよ。そんで槍玉に挙がったのが「ロリ」と「エロ」ですわ。


 お前等のせいで健全な趣味である我々までが一括りにされて迫害される!てね。


 実際、世間が嫌悪したオタクのアイテムってのは、ロリとエロだったしね。だから正解だったんだけども、ロリはともかく、エロは抵抗したよね。だって世間だって「失楽園」とか大ヒット御礼だったのに、何が違うんだ!てな感じだ。


 時代的に、映画館の大画面にセックスシーンが大写しになるのはお咎め無しだったわけで、理不尽すぎたからね。オタクのエロだけはダメって言われたの。害悪だから。害悪だから、て何処がどう害悪かっていう理屈なんかなかったけどね。


 どこにそのラインがあったのか、「高尚かどうか」とか「芸術品かどうか」とかそういうのでもなかったような感じを覚えているよ。ただオタクが作った文化だから卑しい、みたいな感じ? 作品で判断するんじゃなく、人種で判断してたから、あの頃の空気はこれ以上無いほど完璧に典型的な「差別」だったよね。


 理由なんかないんだから、いくら内部で犯人捜ししたって意味ないんだけど、それでも頭ごなしに「お前がオタクだから悪い!」て言われ続けたら「いいや、コイツが諸悪の根源だ!」て、スケープゴートでも吊さにゃやってられんかったんだと思うわ。オタク層はもう皆気弱そうで自信なさげで、それこそ「すみっコぐらし」のキャラみたいにオドオドしてる人が大半だったし。(世間の目がない会場内でだけ元気)


 女性向けエロの代表であるBLとかも、「私たちはルールを守っているのに、男向けエロが恥知らずだから…」てなってたし、ノーマル創作界隈は「エロもBLも表に出てくんなよ、お前等のせいで白い目で見られるんだ!」だった。負の連鎖。


 世間も世間だが、被害者であるオタクもオタクで、あんま堂々とは出来ない過去だったりするんだよ…


 一番の被害者って誰だろね、ほんと。(たぶんロリ。エロもロリを叩いたし)



 オタク差別に関しては、一番ヒエラルキーが低かったロリが一番の被害者だったわけだが、でもロリは無罪なのかというと… 子供の性犯罪問題とか絡むからね、思考の袋小路というかループ回路に突入しちまうわけだわ。(笑

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