「ダイの大冒険」が再アニメ化!!(通称ダイダイ)

 懸念が幾つかあるんだ…


 ひとつ、ヒロインは登場してすぐは主人公ダイのシンパのよーに見えるのだが、結局終盤近くで「別人を選ぶ」という、昨今の読者の嫌がるパターンを踏む。


 ひとつ、相棒といえるポップくんは中盤ごろから大きく成長して感動さえ与えてくれる重要キャラだが、それまでは長いこと「クズ野郎」を貫く。


 この二点は、展開上、絶対外せない要素なのだけど、昨今の「こらえ性のない読者」におもねって、改悪してしまうんじゃないかというのが…


 あんま手放しに喜べないなぁ…



 ダイダイがやってた当時の世間の空気においては、昨今の読者に多いような「こらえ性がなくてすぐ断罪しようとするヤツ」も最大級のクズと認定されていたんだけどねぇ。そういうバックグラウンドがなくなった現代にアレをやって、果たしてどういう評価が来るのかなー、とね。


 アレだよ、今現在が嫌なヤツとか使えないヤツはすぐ切ってしまえ、みたいな短絡的な思考は、だいたい悪役が持ってたもんなんだよなぁ…


 正義側は「それでも、俺は信じる!!」だったもんだよ。




 ヒロインにしても、んな主人公至上主義みたいなこと言うとドン引きされたよ。登場した限りの女はぜんぶ主人公に惚れなきゃいけない、みたいな…。ああ、うる星やつらの中でギャグのひとつでそんな台詞あって、ギャグで笑われるよーな思考と考えられていたな。「世の女はぜんぶ俺のもんやー!!」て。


 いや、初期から出てきたからってヒロインとは限らないって当たり前だったし、ヒロインと思ってたキャラが他のヤツとくっつくのも、意表を突かれたとしても、それを許せないとかいうファンの意見の方がドン引きされたもんだったわけでさ。


 時代の違いとはいえ、どこからどうなってこの時代になったんだろうなぁ、と感慨深い。(笑



 ポップくんはねぇ…、ほんと、絵に描いたよーなクズ野郎だったんよ。なんかもう色々視聴者にも重なる部分があるから余計に痛いという、こじらせキャラで。(笑

 だけどそんな彼が、冒険のうちにだんだん変わっていって、そういう醍醐味っていうか、あれは完全に作品の魅力を支える大事な支柱のひとつだったわけでさ。


 それを視聴者にウケないからって、あのクズっぷりを無くしたらその後の説得力までなくなって、全部がグダグダになりかねないわけでさ。今の時代にあの要素を料理するのは大変だと思うわ。(笑


 あれだな、視聴者の方に言い聞かせるよーに、「切り捨てろとかいうヤツこそ極悪人だ」というメッセージをガシガシ推してかないと成り立たないんじゃなかろうか、と思う。(笑


 翻意して味方になって死んでく、ていうキャラ達がすごく多かった作品だけども、それって当時に出てきていた「合理主義」に対する疑念の表明でもあったと思うんだな。すぐ切り捨てる、その冷酷さをなんかカッコイイとか当然だとするような流れがちょうど始まりかけてた時代だったなぁ、と思い出す。

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