一人称にチャレンジ 原型(純粋に内面心理)

「定年したら、家族旅行でもしようか。」

 とつぜん何を言い出すのかと思っちゃった。ああ、こないだ言ってた話ね。

「こんな機会はもうないだろうし、貴美子もいっしょにさ。」

「あの子は会社がありますよ。」

「そりゃ解ってるよ、」

 うそ。解ってないわよ。貴美子は土日のお休みも怪しいのに、行けるわけないでしょ。お休み取れないわよ、取れても寝るって言うわよ。

「ねぇ、あなた。別に、無理にあの子を連れていかなくていいじゃありませんか。」

「こんな機会ないんだぞ。旅行なんて、それこそ連れてってやれなかったじゃないか、近所の公園がせいぜいだったのに……」

 それはあの子が小さい時の話。大人になってから両親と旅行なんて、行きたいわけないでしょ、バカね。

「もう。……お茶、入れてきますね、」

「うん。」

 ふぅ、付き合ってられないわ。一服しましょ。よっこいしょ。

「なぁ、かあさん。」

 なによ。

「かあさんと旅行っていうのも、久しぶりだったかなぁ。」

「そうね……」

 そうだったかしら? 日光にも北海道にも日本アルプスにも行ったけど。あ、あれはお一人ツアーだったわぁ。貴美子がぶーぶー文句言って、お土産代が高くついたのよね、そのくせモロコシチョコあげたら怒っちゃって。トラなんとかって寺院はコースになかったんだから、しようがないじゃない。

「かあさん?」

「あ、ごめんなさい。怒ってないわよ、別に。」

「怒ってるみたいだったじゃないか、それでさ、日光と北海道と日本アルプス、どれにしようか迷ってるんだけど、かあさんはどこに行きたい?」

 その三つは外して。


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 これ、まだすこーし、実際のリアルより小説的脚色があるんだけどね。


 一人称って、視点主の心の声で構成される語りだけども、どう理屈を付けて解釈したらいいのかがイマイチ解らないんだよねぇ……


 現実の心の声って、わけでさ、これが自分の中でうまい処理法が見つからないんだよね。


 そこ書いたらそれは三人称やん、て。違うのかなぁ。納得いかん。

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