ラノベやテンプレにおける「恋人は新品がいい」という誤解

 こないだ紹介した「ピッコマ」なる漫画サイトで、2~3の異世界モノを読んでますです。自分じゃ書かないし読まないと宣言してもいますが、別に毛嫌いしてるわけじゃないですんで。引きずられやすいんで小説はシャットアウトしてるだけの話ですわ。


 一般文芸の界隈では、読者のかなりの部分がなろうに代表されるある種特殊な書き方であるテンプレ異世界系を嫌います。これは、なろう系として読む分には差し障りはないけど一般文芸と混ぜたものは拒否される、という意味です。


 これがね、ずーっとその境界線ってのがドコにあるのかが解らなくって悩みの種なんですわ。何が気に食わんの?と。書き手としては地雷原がドコなのか解らんってツラいじゃないですか。混ぜるな危険、とは口を酸っぱくして言い続けてますが。


 何らかの要素がダメで、だから、文体がラノベとかテンプレっぽくても普通に受け入れられるんだけども、それで大丈夫と油断してるとその何かの要素をうっかり入れ込んでしまって盛大にコケる、という感じではないかな、と。


 ひとつ、コレじゃないかな~?と思っている部分はあるんですけど、どうざんしょ。ほら、異世界モノって、ハーレム系が出てきたと思ったらそのカウンターで逆ハー女主人公モノが登場して、転移主人公の得意顔が気に食わんというカウンターに転移主人公ザマァが登場したりするでしょ。


 これって、共通なのは「感情移入先のキャラは○○でも許すが、他キャラは許さん」てことに見えるんだよねぇ。自分に甘くて他人に厳しい?


 オトナ向けの物語で当たり前に出てくるパターンの、主人公とヒロインの両方が最初は別のヤツを好きでいる、という設定が少ないように思うですよ。


 昭和あたりの少年誌なんかでも普通にこのパターンはよくあるものだったと思うんだけど、なろう系のヒロインは初登場から主人公ひと筋なような……

 なんか、心変わりはヒロイン属性としてもヒーロー属性としても歓迎されないんだなぁと思った次第でね。


 だけど、いい大人が恋愛経験の一つもないって珍しいと思うんよ。片思いだろうが、過去に愛した人がいて大事な思い出でって普通でしょ、普通。んで、オトナ向けの雑誌とか掲載の小説や漫画は、それ当たり前すぎの設定なんよね。主人公にも過去があるし、お相手にも過去があるのは当然、ていう。


 だから、一般文芸では当然というかそこは当たり前すぎて、無い方が逆に不自然に感じられるジャンル的空気があるでしょ。それで、いわゆるなろう系と一般文芸を読者は分けて考えてるし、混ざってるとパタンされる気がするんですわな。


 そういう、「お相手は過去恋愛などしていない、傷はない」という設定をリアリティの上で云々とか言ってるんじゃなくって、ジャンルってのはそういう偏りの為の方便なんだろうからそれはそれで一つの趣向だから別にいいんだけどね、


 なんてーのかな。


 これも移り変わりあって、かつては割と見掛ける設定で「奪い取る」ての大っぴらだったと思うんよ。それがいつしか「清算済み」の設定で、過去の傷みたいな扱いで、お相手は恋人とは別れた後に主人公と出会った、みたいになってさ。

 それがなろう系まで行くと、そういう過去が語られることさえないんだよね。なんか、過去に別れた相手にまで遠慮するというか、作者の都合で別れさせるのに罪悪感がある、とでも言いたげな……いや、過去だよ?て。(笑

 で、まるで、これが初めての恋、みたいな反応をするお相手ばっかに見えるというか。


 ナイーブすぎないか?(笑


 だからさぁ、普通にそういうの平気な者から見ると、「新品でないと嫌だ」という風にも見えちゃうんじゃないかなぁと思うんさ。そういう揶揄が裏辺りでは実際に聞こえてくるしねぇ。「過去恋愛などなくて自分しか好きになったことがないまっさら新品の恋人」なんて思ってるワケじゃないのは解るんだけど、結果的にはそうなってしまってない?とかさ。(笑


 これ、「傷付く人が居るんです!」の過剰防衛というか、トラウマというか、ほんっとナイーブだなぁと思ってさぁ。

 たとえ物語でも、心の傷と向き合うってのはナイーブな人には重荷なのかなぁと思った次第。(その割に、複数からチヤホヤされるハーレム状態で、お相手たちを競わせる分には平気なのね、とかね。ああ、だからハーレムモノ主人公は自分のせいじゃないって態度なんだね…)優しすぎるというか、八方美人まで行ってない?(笑



 一般文芸だとこの辺りは、「自分にも複数の恋愛がある。相手にも複数の恋愛がある。お互い様だけど。くそう、もやもやする。」がデフォだよねぇ。



 お相手たちが主人公を巡ってギスギスしてるハーレムっての、女性向けだと割と目にするから、女性向けはまだ一般文芸的リアルを持ち込んでも大丈夫そうだよねぇ。


 んでさぁ、なんか、そういうキャラクター造形の手法?みたいのがさ、ちょっと気持ち悪い的な感じもあったりするんかなぁ、とは思ったりするんだよねぇ。混ぜちゃいけない要素ってトコで。う~ん、まだよく解らんですなぁ。

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