私が書き方講座をやる理由

 おこがましいと言われるかもだが、私は正直、編集者に向けて書いているよ。


 なんのかんの言って、このまま統制もへったくれもないフリーダム社会にはなってほしくないんだ。正直、そんなものは西部劇の世界だ。奪ったモン勝ち、アクティブなモン勝ち、ルールも正義もへったくれもなくなるだろう。その端緒が漫画村だ。


 私が出版社に期待するものは究極にはただ一つだ。『権力』それだけだ。


 漫画村を潰せるとしたら、個人では絶対に不可能だろう。泣き寝入りだ。それが出来るとしたら、公権力を動かせるとしたら、出版社しかないと思っているし、それを最大に期待するからこそ、現状を憂えている。国家権力はその気になれば闇から闇へ葬るという最終手段を持つだろう、相手を現実に抹殺するという手だ、ルールというものは時にはそこまで行ってしまうほど守るのが難しい。究極の非合法を取らなければならないケースはある。だから、力を持った存在は必要だ。


 編集者がマジで、作家が相談するに値する存在になって欲しいんだよね。プロデューサーになってほしいのよ。だけど、それなら作家以上にフィーリングで仕事すんな、と言いたいわけよ。ちゃんとリクツを踏まえた知識を持っててくれって。リクツだけじゃバズらないとかは言い訳なんだよ、フィーリングだけで仕事してそれで続くのかよ、ちょっと時代とズレたらもう手も足も出なくなる、そういう作家を遣い棄てていけば済むような時代じゃないんだよ。


 ハイローでさ、一つだけ気になった点があるんだ。無粋だからスルーしてるけど、たった一度の失敗でいちいち切ってたらよ、構成員なんかすぐ底つくんだよ、今日びヤクザなんかやりたいヤツそんなに居ないんだから。

 それってどんな商売でも同じだよ、やりたいヤツが大量にいるって胡坐掻いてたら、そいつらがみーんなタダでいいやてなってきて慌ててるってだけだよ、現状。


 Webにはタダで配布されてるライバル誌が山のようにある、差別化するしか生き残る術はない、質の向上以外にだって、埋もれた良品があるって現状はすなわち供給過剰で消費者は選別作業に辟易してるってことだから、代わりに選別をするという差別化方法もあるわけよ。


 もっというなら、メディア展開だわな。せいぜい漫画だけっしょ、ふざけんなって。編集者自身が作家並みに小説手法に通じていれば、原作小説をテコ入れしてジャンル変更だって可能になるんだよ、文章次第でレッドオーシャンのラノベから文芸の品薄市場に卸せる作品にも作り変えられるんだ。作者を育てられる編集者ってのは、これからの時代は、小説教室の講師役もできなきゃいけないんだよ。


 ライターの文章を添削して晒し挙げてるトゥゲッターのスレあったけどさ、あのくらいの実力が、すべての編集員に求められる時代なのよ。赤ペン先生だよ。そのくらいしなきゃ、これからもっとWebのタダ作品勢が追い挙げてくるのに、市販小説は太刀打ちできなくなっちゃうよ。金出す価値を、差を付けなきゃなのに。


 二人三脚っていって、本気で小説家並みの知識が必要になってんの。フィーリングだけのやっつけ仕事で作家と付き合ってる編集員では通用しなくなってるから、微力ながら持てる知識を公開してんのよ、これ、ぜんぶ本来なら私の武器だよ!? 小説論なんか編集には関係ないって知らん顔してんでしょ!?


 色んな講座とかあるんだし、新人研修だけでなく、編集員の技術育成が急務ですよ、出版社さん。執筆時の頼れる先生役が居るってことが、出版社が生き残る最良の手ですよ、自転車操業で誤魔化して寿命を縮めないでください、お願いしますよ。


 中身の執筆で編集さんに助けてもらって助かったて話が一つも聞こえてこないからね! そういう相談が出来ないってのが、編集不要論に拍車掛けてんだと私は思う!


 よく聞く、「こういう展開にしたらいい、」てのはアドバイスじゃねぇ!! あの添削文にあった、「ここはどういう意味でしょうか?」的な、細かい文章表現上の不備を指摘できてこそのアドバイスなんだわ。それ出来る編集さんばかりじゃないんでしょ?



 漫画でいうと、打ち切り漫画あるじゃん。宝の山が。


 Webで一箇所に纏めて、誰でも閲覧可能で放出しないのはナゼ? 作家さんが区切りいいトコまで続けるもよし、賃金出ないけど仕事の合間で好きに描く分には好きにして、場所は提供する、てスタンスでやりゃWin-Winじゃないの? 一巻の半分くらいは市販されてる分も無料公開して、途中は市販だからで金取るけど、打ち切り後から先は無料公開、て。気に入った読者は途中も読みたかったらその分だけ金出してってなら先行で買った人も文句はないでしょ。次の連載すぐ始まる人ばっかじゃないし、ネームでボツ食らう間も縮小でも連載続くほうが名前忘れられずに済む。タダでてのはキツイかもだけど、選択肢がある方が作家さんは嬉しいんと違う? なにより、出版社が場所をWebに置くメリットがデカイってのは、カクヨムでも実証されたでしょ。いろんな宣伝も一緒くたに置いて、出版物宣伝と抱き合わせで打ち切り作品の続きを読みに来てもらえばいいんじゃん。


 なによりデカいのは、曲りなりプロデビューした玄人作品しか置いていない、という差だよ。それは玉石混交当たり前のWebSNSでは大きいはずだよ。掲載不適切が表に出る危険ってのもあるけど、そこは通報システム採用で管理人付けるとかー。


 読者の正直なトコの本音はな、プロ作品だけタダで読みたい、まで極まったと思うよ。漫画村はそういうタイミングで登場して、成功したんよ。けどあれは違法ってガンガン宣伝して、片方で手法だけ分捕れば、労なく成功もあるよ。

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