二次創作的な書き方という病

 二次創作的な書き方で書かれたオリジナルは、アドバイスをするにも1からになってしまって疲れ果てる、という意見を聞いて。

 私は、自身が感じていた「代入形式の書き方」のことかと思っていたけど、彼の感じていた病理はもっと根深かった。


 曰く。


 オリジナルだというのに、まるで『大人気既存作品のキャラクターを借りてきたような気分で冒頭部からを書き出している』作品との事だった。


 ああ、解かる。解かるし、二次創作に関わっていた私も、そういう作品をフツーに読めてしまう。これもテンプレ小説と同じで、独自ルールを先にインプットしている者には何の問題もなくクリアできる点だと気付いた。


 テンプレ小説は、代入形式の書き方であり、既存の有名作品と世界観をシェアして初めて成り立つ小説だ。二次創作とほぼ同じだ。だからもちろん、そういう特殊な読み方をマスターしていない読者には通用しない。


 ちょっと誤解していたようだ。代入形式の書き方では、世界観のみならず、キャラクターすらも代入で、借り物で済ませてしまう傾向が強いという事だ。記号的に書かれているから、それこそ読者の側で似たタイプの既存作品のキャラなら誰でも代入可能となる。


 ……そうかぁ。世界観を借りてるだけと思ったら、キャラもだったのか、と目を開かれた感じなのでした。



 なんで最近、そういう話がよく聞かれるのかと言えば、そういうテンプレ系の書き方をしてきた作者が、「描写」を入れたいと望むようになったからなんだよね。


 これ、描写を入れるには完全にオリジナルでないとダメなのよ。借り物でやっちゃうと非常に強い違和感が文章に生まれてしまって、巧く馴染まないの。描写の量が少ないうちは誤魔化しも効くんだけど、普通の文芸くらいに描写で書こうとしたらボロが出る。


 講評をしてた彼も、なんか変だぞ、という感じで気付かれたらしい。本当に1から教えるハメに至って、そうとうに参ってしまわれている。

 代入方式、と命名したくらいだからね、既存の、フツーの書き方とは違うんだもん、そりゃフツーの書き方を1から教えることになる上に、相手は代入方式と混ぜようとするから、教える方は大変な目にあうのはさ、もうね、て。


 代入方式をすっぱり捨て去るか、代入勢だけでノウハウを確立してくださいよ、という話になってきている。


 描写とは相性が悪そうなんだけど、なんでなんだろうなぁ? と思う。代入方式では整合性とかが軽んじられるけど、描写ではそこが重要で、水と油なんだろうなと思うけど。

 ま、私は文芸勢なので関係ない話なのでしたが。


 しかし、私も初心者に二次を勧めてきた手前、知らん顔も出来ないかな。ラノベ系にしか見られないトコからして「描写」と深い関連がありそうなんだけど。


 んで、二次書いてる人でもちゃんと普通の書き方で書いてる人も沢山居るんだよねぇ。これがなにより不思議。どこで代入系の書き方を覚えたのだろう?

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