代入に頼りきった「記述法」
前回のエッセイ、『テンプレラノベとテンプレでないラノベ』の話では解からない人がほとんどであろうと思うので、改めまして。
テンプレに代表される「代入形式」でのスピード感溢れる軽妙文体の正体ってヤツね。それの極端な例が、実は前々回のエッセイ『ソロでイカ、リベンジ!』の文章でっす。これ、モンハンプレイヤーに的を絞って思い切り代入の省略形で書いてます。モンハン知らない人からしたら、チンプンカンプンでしょう。解かってやってます。
これと同じ書き方なんすよ、テンプレラノベとか悪しきハイブリッドは。
二次創作だと割と問題ない書き方なんだけども、二次創作の中でもすでに多くの書き手がこのテの文章から脱却を図ろうとし始めています。流行りが変わり始めたんでしょうね、まぁよくあるムーブメントの推移に過ぎません。
最近、評価が上がってきてるなーと感じるのが、描写がコテコテに付けてあるちょっと気取った文体ってヤツです。描写というものに対するアコガレ的なものが上がってるんじゃないかなと思いますが、そこで多くの人が代入形式を脱皮できずにヘンテコリンな描写を書いてしまってもがいています。
白亜のお城、と書いちゃうんですね。たぶんね、イメージはわかるのよ。アレでしょ、シンデレラ城とかノイシュバンシュタイン城を思い浮かべて欲しいんだよね?
だけどね、白鷺城こと姫路城も「白亜のお城」なのよ。白鷺と白鳥でえらい違いだけどね。おまけに「中世ヨーロッパ」と断っておくテンプレな作品ならば、テンプレだからこれはシンデレラ城とかの方だな、と了解されるわけですよね。それを期待するよね。
その考え方こそが「代入」なのですよ。読者はその作品を「借り物」と認識してしまうわけです。「別の作品の派生品である」と。で、実際に、別の作品を参照してください、という注釈付きで読ませてるわけです。
オリジナリティの強い世界観や人物像ほど、この記述法だと書くことができず、記号に落とし込んで、元来のオリジナリティを殺すことになっていきます。参照できるよう、パターン化して参照元データに成型しなくちゃいけないからね。
解かってもらえたかなぁ。
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