見切りをつける頃合

 小説家になろうさんでは、作品の人気が芳しくない時にはもう見切りを付けて、新しい作品を書いた方が良いというアドバイスがある、という話をフォローしてる作品で上げられてました。


 まぁ、その通りなんですけどもん。(笑


 それって、別にその作品に限らんのですよ、肝心な部分は。


 場所にも見切りは付けるべきだし、読者層にも見切りは付けるべきなんだな、実は。例えば「ラノベ」。まぁ、ラノベと言ってもピンキリなのはもう誰もが知ってる話なわけで、実際はラノベの皮被った文学まであるんだからすごい世界ですが。


 その中でのサブジャンルの興隆ってのはひっきりなしと起きてます。ほんの10年ひと昔ならSF全盛期だったりロボット全盛期だったりしたんですよ、シュタインズゲートのヒットとかまだ記憶に新しいよ? ボカロとか。


 私がハマっているモンハンというゲームにしても、ヒットした途端にほとんど同じよーなシステムがゲーム業界を席巻したし、それ以前の「地形を攻略するカタチのパズルアクション」はほとんど見なくなったね。あれも相当流行ったから量産されたわけだけども。


 それで言うと、ラノベは実は「ラノベ」というパッケージ名に過ぎなくって、実際「ある系統のモノ」を指し示す単語としては幅広い範囲を持つわけですが、「異世界転生」ってのは違うんですわ、一つの系統作品を示す言葉で、中身が推移しないってのが大きい意味を持つのね。ラノベは中身が推移するんです、中心を成す成分は変化する、だからラノベは今後も廃れないわけです。

 廃れるのはサブジャンルね、狭い対象範囲を示すものほど、時流で廃れたり隆盛になる。「ラノベ目:異世界転生ジャンル」というものの処遇を考えろ、と言ってるわけ。あるいは「ラノベ目:テンプレジャンル」というのはまだ異世界転生に比べると範囲が広めに取られているから、廃れるならもっと別の理由で、それはマーケティング理論で解き明かした方が早いと思います。需要と供給、レギュレーションとかなんかその辺だよね、きっとね。


 ビジネスってのは何も、売れるものを探してきて売るってだけのもんじゃなくって、売れるように調整もするんだよって辺りの話ですだよ。つまり、規制だ。市場誘導くらいはお手の物だったりするわけで、もう始まってるってのを昨日書いた。


 文章力回帰ってのは、どういう意図で起こされているかってと、参入障壁をちょちょいと弄って、付加価値を手っ取り早く上げてしまおうって事だよ。デフレインフレも関係して、薄利多売が極まるとモノの値段はボトムで崩壊するじゃん? それになる前に、今度は上昇さすわけですわ、安かろう悪かろうの理念が世間にバレてくると、世間のニーズも高品質高価格を受け入れてくるわけなので。


 品質良いですよ~、値段でおつりが来ますよ~、て戦略に切り替わるわけです。


 今までは、とにかく沢山出してそれぞれでちょっとずつ利益あげよう、のビジネスプランだったものを、ひと山幾らの商材とハイグレード商材を分けよう、のプランに変わるわけです。安いものはさらに買い叩いて安く提供し、一握りのハイグレードは価値に応じた値段で売る戦略ね。


 安く提供の部分は、書籍業界の場合はネットが代わりにタダ商材をこれでもかと随時で供給してくれているので、別途に安い商材を業界で用意する必要はないのよ。ネットを比較対象としてグレード高いですよ、の宣伝を打って、実際にそういう商材を揃えていけばいいだけなんで。


 そこを考えろ、と言うとるのです。


 テンプレというもののイメージ誘導まで起きてるんじゃないかな、と。テンプレート作品は、実際のトコは置いといて、「1から小説を創造構築できない者が使う」だとか「それを使えば誰でも簡単に小説らしきものが書けますよ」てなトコが世間に広まれば、ひと山幾らの価値に下がっていくのはもう待ったなしです。

 実際に幾つかのSNSがその証拠を提示してたりもするんで、いくらそうじゃないと反論しても、実際にここまで沢山の類似品が日々生み出され、初心者が書いているのを見たら誰も信じないってことです。イメージは覆されない。


 そこからさらに、「テンプレ出身の作家の能力は一段落ちる」に移行させるなんてのは、実に容易いでしょう。それが例え冤罪であってもね。逆に、「テンプレじゃありません」が売り文句で利用可能にまでなってくるでしょうよ。世間の認知に掛かっていて、世間じゃ「簡単=テンプレ」に近いんじゃない?


 そろそろ見切りを付けるべきだと思うよ。


 テンプレはそりゃもう山のようにライバルが居て、そこから抜け出て人気になるって至難の業でしょ。テンプレというジャンルが人気の時に、それ以外で人気になるのは至難の業だという事と、何が違うのですか、という事だよー。


 こういうの朝三暮四っていうよね。



 そうそう、テンプレを書く作者って自分で1からストーリーを作れないんだろうか、という疑いもそのうち実しやかに流れ始めると思う。(もう流れてるか?)

 こんだけテンプレが流行ってるからこそ、「私は1からストーリー作れますよ!」のアピールに使えるかもよ。ごく当たり前のことなのに、あたかも、すごーい、な感想を持ってもらえたりするかも知れない。(笑


 例えば今、小説家になろうで、完全にテンプレから逸脱した作品がトップに躍り出て人気になる事があれば、それは新たなトレンドで「君の名は」並みの大ヒットを飛ばすことだろう。今からテンプレを書いたところで読者はほとんど付かないのだから、どうせ読者がいないと開き直ってテンプレ人気を潰すことを狙ってまったくテンプレに掠らない作品をガシガシ書いていく方が、まだ当たる確率は高いのですよ。


 横浜駅SFは、テンプレに掠らない作品だからテンプレ勢は真似たくても真似られなかったわけで、その真似られなかった事実がさらにあの作品の価値を押し上げたわけで。それはまた、テンプレ勢が結局のところテンプレがないと作れないのでは、という疑いをさらに深めたわけです。同じ事例が今後増えていくとどうなるのか…なかなかに面白げなシミュレーションです。(笑


 テンプレのランキングは入れ替わりが起きて下克上なんだけど、例えば横浜駅SFがウケたからってこれを真似て、テンプレみたいにちょっと新しい要素を足して新・横浜駅SFみたいな作品を作ったとしても、おそらくだけど、ランキング上に彗星の如くで出て来たりはしないと思うんだな。それは、横浜駅SFがテンプレと認められていないから、それをベースにしても認められないってことね。テンプレ群のベースにあの作品の特徴の幾つかが吸収されたりはするだろうけども。


 だったらこれ、テンプレ作品群で世間が認知して価値を認めているのは個々の作品ではなく、パターンそのもの、テンプレベースであるって事?

 ここら辺、誰か紐解いてくれんかな。(私はそれやるなら自分の作品一行でも書きたいので申し訳ない)

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