テンプレの果てに
テンプレ小説は書きやすいんだよね。冒頭を1から考えるのは難しいから、すでにある程度成型済みのテンプレートを利用して、実際の実力に下駄履かせた状態で始めた方が失敗確率が下がるというメリットもあるし。
読者が二番煎じとか三番煎じ、二次創作の延長ってのを嫌わなければ、別に問題も起きない形式の書き方だというのは、それこそずーっと書き方エッセイなんかで書いてきた。かれこれ5年は書いてきたぞ。(笑
で、ここ3年ほどは、Webには渾身のネタを置くなと忠告しているよ。
テンプレが大流行すると、何が起きるかといえば、パクりにたいする敷居が下がるんだよね。どこぞの大陸事情並みには海賊版とか偽物を作ることに抵抗がなくなる。認めたら業界の終焉だったんだよ。
今までは、公募の賞レースなんかでもさ、「どっかで見たネタ」ってだけで問答無用に落としたもんだけどさ、それがなぜかって言えば模造品である可能性が高かったし、市場が模造品を認めなかったからじゃんか。
それで言えば、テンプレ小説なんてのは冒頭がほぼ同じパターンなわけで、こんなの100作品あれば100作品、面白さに関係なく全部落とされたんだよ。冒頭が同じパターンだから。ちょっとの工夫があればいいなんてさ、ユトリ教育か、って言うんだよね。(笑
実際は、似てると解かった上で賞を取らせた作品も割とあっただろうけど、それは特別視されたよね。普通は、似てたらアウトという不文律が作られていた。似たような作品を送らない、なんてのはよく言われたセオリーだったと記憶してるよ。
これから先、異世界転生禁止から始まって、どんどんテンプレへの処遇は厳しくなっていくと思うよ。元々の基準である「先行作品に影響されて書いたと解かる作品」はそれだけでアウトになっていた昔の選考基準に戻っていくと思うのサー。時流で悪役令嬢が流行っていたなら、悪役令嬢とかそれに似たパターンを持つ作品は、無条件で全部ボツられるわけよ。異世界流行りなら異世界を舞台にしたら全部落選、て。
だってさ、二番煎じ三番煎じな作品は市場の需要総数なんかはある程度決まってるからね、それは二作目三作目を出して名前を売っておきたいすでにデビューした新人に書かせた方が、業界的には供給量とかも調節できてお得ですもん。(しかも、編集者が大して知識なくても作家へのアドバイスに今売れてるパターンとして提示が出来るんだから、二度オイシイのだ。よって、オリジナルとは断固として認めないね、私なら。)
私が経営陣だったら、二番煎じ三番煎じの新人賞応募作なんて、まずその時点で落とすね。テンプレはもう目の敵にして全部落とすよ。見せしめのよーにね。(笑
そんでことあるごとに、テンプレを新人賞に送ってくるな、あれは二次創作と同じでオリジナルとは認められない、欲しいのはまったく新しい作品だけだ、と繰り返すよ。有力な書き手を引き剥がす為にね。
テンプレ人気は二次創作が人気なのとほぼ同じ構造なんだからさ、ファン活動の位置づけにしておいた方がビジネスは安定して回るよ。まったく新しい作品を新人賞と箔をつけて打ち出すでしょ、その中から人気の作品が出てくれば、その作品パターンで二次創作が出されるわけよ、健全な流れならば。
ところがだ、そういう二次創作的な似た作品がオリジナルで通用してしまえば、テンプレという免罪符で賞に出され、それでOKとなったら、二次創作的にファンが支えてくれるはずの熱量が、応募に回ってしまうんだよ。分散する。
昨今の小説不人気なんてさ、他人の書いた小説をネタ帳程度にしか捉えていないテンプレ狙いの作者がそんだけ増えて、それが世間に浸透してきたからじゃんか。
業界は目先の利益に目が眩んで、自分たちで自分たちのビジネスモデルをぶっ壊したんだと思うよ~ん。
業界全体が強い調子でテンプレは二次創作だと言い続けていれば、今、ここまで小説が売れないなんて事態には陥っていなかっただろうと思うんだよなぁ。新人賞からは、売れる売れないは別にして、斬新な新しいパターンを持った作品がボコボコ出て、それをヒントに先輩作家が洗練させた作品を輩出する、ていう従来の黄金パターンが守られていただろうにと思うヨー。
実際に、昔の創作畑では「○○に似てる」なんて言われかねない作品をオリジナルだなんて堂々と言うヤツは見なかったもん。二次創作だからで許されたもんだったよ。
で、私がもっとズルい経営者ならば、Webで人気の作品は拾い上げでしか出版しないね。人気だけで出版する時は拾い上げで、賞は絶対に付けない。Webで賞開催するようになったのって、実はそういう裏事情じゃないかと思ったりする。
伝統ある、ちゃんと機能する賞タイトルはやりたくないから、Web用に新設してるんじゃないの?(笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます