若い世代の音楽が心地悪い……

 いや、世代間格差っちゅーやつだから、別に扱き下ろすつもりとかはない。聞き慣れんもんだからどーも耳に心地よいとは思えないっちゅうだけなのョ。


 誰とは言わないが、ただガなるだけのボーカルとか、フレーズ重複で文字数稼ぎな歌詞とか、半音ズレてくリズムノートとか……あれって聞いててカクッてなって、ノれないんだけど、あれがイイらしいのだね。


 なんかラップを初めて聴いた時も、こんな音楽もアリなのかと驚嘆したもんだけど、あれからなんだか『ダムが決壊した』みたいに音楽シーンが野放図になったなぁという感じがするのだね。「なんでもあり」って、本当になんでもありで。


 そんで、ファン層の分断が起きたよーな感じもする。島宇宙化というか、ラップはラップばかりだし、ボカロはボカロばかりだし、ファンがそこから出てこないよね。


 ビジネス戦略としてはそれは正しい作用なので問題なく正常な状態が作り出されているわけだけども、なんか気持ち悪いなぁ、と。文化面でそれってすごくダメな状態に違いないのに、飼いならされてしまっていて家畜なのだ。家畜だと思って即座に反撃に転じるような流れがどっか行ってしまっていて、なぜなんだろうかと思う。

 あんまりにも数が多くて、倦むことがないからかなぁ。似たようなパターンばかりだ、という認識がないと倦むこともなく、飼いならされている自覚もないよな。


 これは音楽シーンに限らず、どんなものでもムーブメントが破れる時ってのは、反勢力による巻き返しみたいな、新たな潮流によって押し流すみたいなトコがあったのに、最近は平行線から徐々に廃れるみたいな穏やかな潮の満ち引きに思う。


 Mixiからツイッターに移って、次はたぶんマストドンなんだ。だけど穏やかに平和的に徐々にツイッターから移動してって、やがてMixiみたいに主役を明け渡すって流れになるだろう。ずーっと平行で栄えているように見えて、ほんの少しずつ廃れる。何事のムーブメントも皆そうなような気がする。


 平和でいいようなもんだが、あんまり緩やかに穏やかにやられるもんで、取り残されるケースが今まで以上に多いという気もするんだ。そんで、かつてと違って取り残されて困ることはない。


 昔ならスカートの形の流行ってのとかでも、取り残されたらもうそのスカートは買ったばかりであっても着れなかったけど、今だと多少流行遅れでも問題なく着れるよね。多様性が確保されたというんだろうか。


 コマーシャルじゃないけど、今までは割とムーブメントで一塊になるのが多かったのが、「ばら、ばら、ばら、」て感じでどんどん細分化されている気がする。

 けど、ビジネスにおいてはある程度は塊になっててもらわないと、採算が合わないんだよね、個人主義はそこまで発達してほしくない、周囲の意見も気にしてほしいのが本音で。グループの規模が小さくなるほど利益も小さくなるから。


 音楽シーンも今やものすごい数のジャンルに細分化されたわけで、たまたま若い世代の流行りもののジャンルは私の耳に馴染まなかったってだけなんだけど、で、別に若い世代とどんどん隔たっていっても痛くも痒くもないし、古いジャンルの曲も古いメロディラインそのままで新しい曲がどんどこ増えているから、無理して若い世代に合わせなくていいわけでさ、これがつまり細分化をさらに後押ししてくんだよね。


 アマチュア含めた作り手の裾野が膨大に広がれば、どんどこ細分化してっても需要に供給が追い越されて渇望状態になるなんて事態はないんだよなぁ、というね。


 供給過剰だから細分化という贅沢な状況が生まれているんだね、恵まれているわけだ。だけどそれだけに、島宇宙同士は距離がどんどん離れていって、隣の宇宙に飛び移るだけでも一苦労になってる。これが、そのジャンルから出てこない理由でもあって、なんか世間を席巻するよーな作品でも出てきて、そこに便乗してやっとこさ別の宇宙を体験するなんて事でもないと別のモノに移らないのかも知れないなぁ、と。


 そのジャンルからわざわざ出ていく必要がないんだろうなぁ、と。二次作品とかだと、流行りのうちはどんどこファンジンも出るけど、次のブームで潮が引いたらあっという間に飢餓状態に置かれるだろ? あれよ、あれ。あれがないというか。


 まぁそんなこんなをグダグダ考えてた。さ、原稿書こ。



 そうそう、私がかつて歴史モノをやってた時はさ、歴史なんてオタにはウケが悪かったんだよね。だから、『同人誌的なBL目当てで入ってきた人10人のうちのただ1人でもいい、本当の歴史に興味を持って歴史オタに足突っ込んでくれるように』と願って同人作っていたっけな、と。自分がまさにそうだったからね。


 漫画の新撰組にしか興味がなくてもいい。その10人の中から1人、本物の歴史に興味を持って踏み込んできてくれる人が居れば、その人が歴史を廃れさせずに続けてくれるだろう、てね。全員に期待はしない、その中の1人でいい、そのたった1人を引き込むために描く。そう思って描いてたなと、懐かしく思い出してる。


 10人のうちの1人くらいはさ、「本当の新撰組はどんなんだろう?」と思って調べ始めてくれる人が居るんだよ。さらに、「長州が気になる、」「薩摩がかっけぇ、」と別方面に展開してって、別の歴史に傾倒してくれたりすると、結果的に歴史ファンが増えるんだよね。ただ1人でも増えたら御の字とか思っていたな。潜在的で見えない、同人オタじゃないパンピーのファンは凄い数だったのを知らなかっただけなんだけど。(笑

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る