ドレスコードを気にする人々【まなざし村案件】

「まなざし村」という揶揄表現があります。フェミニズムに傾倒して極端に性差別意識に敏感な人を指して住民だと謗る言葉ですね。由来が気になる方は調べてみてください。


 これは、ドレスコードに厳しい人とユルい人との間の軋轢です、正直なところ。


 やれ、公共機関のポスターがけしからんだとか、広く公開された場で自重しろだとかの煩い注文が聞こえてきますが、それらはすべて、社会基準のドレスコードを守れと訴えているのです。

 また、反対派からの反論はドレスコードには触れずに、権利主張や住み分けという解決法の提示に行きがちで、酷いのだと個人攻撃の誹謗中傷に過ぎないという始末です。だいたいすれ違ってますし、要求の理解すらなされていなかったりが多いようです。


 エロっぽい女性を描くことを問題としているのではなく、本来は似つかわしくないとされている場所にまで侵略していっている事が問題視されているのですが。知っていてシカトしているのだとしたら悪質ですね。


 本質を言ってしまうと、ではエロい女性を差別することになるではないか、というねじれた理屈が返ってきますね。エロい女性の表現物は公共の場に相応しくない、という意見なわけですから。

 しかし、大事なことを忘れています。


 表現された女性は、正式には女性ではありません。人間ではありません。


 これは表現規制などの際によく使われるロジックですが、片方でダブルスタンダードで卑怯ですね。

 エロく描かれた表現上の女性は人間ではないのでそこに権利は発生しません。なので、ドレスコードを守れという主張にも、女性への逆差別など存在しないのです。

 エロく描かれた女性像は、女性を象徴として使用したある種の表現であり、その表現そのものを表現者の中にある女性差別である、と指摘しているだけだからです。

 しかも、表現することを規制せよとまでは言っていないはずです。表現の場を選べ、ドレスコードを守れという主張のはずです。中には行き過ぎた過激派も居るでしょうが。

 反論するなら、このドレスコード自体を提起していかねば通用しませんよ。


 そもそもで、女性が自身をセクシーに着飾ることと、表現者が女性像をセクシーに飾り立てることも区別して考えねばなりませんし、表現者がそれをエロスの美と捉えての表現としているのか、芸術としての意識がないのかでも変わります。

 もっと言うなら、表現者の表現が芸術であるか否かは観客が下すものでもあります。観客がこれは芸術ではないと判断すれば、表現者がいくら芸術のつもりでいたところで無意味です。価値は常に客観で決まるのです。それが公に発表されたものであるなら尚更。

 これもダブルスタンダード案件で、人々はランキングの結果をああだこうだ言うではないですか。価値は客観で決まると認めているからランキングは存在する。批評家、評論家という職業も成り立ちます。

 価値にもまた、相対的価値観と絶対的価値観の二つがあり、自身で下す価値評価は絶対的価値観であり、他者の下す相対的価値観とは別物なのです。混ざりもしません。ドレスコード問題は常に相対的価値を論じているので、自身の絶対的価値を等価で論じたところで通用しないのです。


 そこを無視して理論を展開するので、この問題はずーっと平行線なのです。

 なぜかと言えば、まなざし村の方が考え方的には正しいからです。


 彼らの意見を要約すれば、「出す場所をわきまえろ、」だけだからです。



 壇蜜がどんなにエロいお姉さんであっても、彼女に公共の場に出て来るなという意見が不当だというくらいは誰でも解かります。それは彼女が権利を有する人間だからであり、これが壇蜜をモデルにした絵画であっても肖像権だとかでやはりこの表出を非難される謂れはないわけです。

 しかし、単純に誰と特定も出来ないエロい女性を表現した絵画に関しては、公共の場に出すに相応しいかの議論はなされて当然でしょう。その議論はまた、その絵画が芸術であるかどうかの議論であるはずです。

 芸術であるにはどうあるべき、はまた、衆人が決めることであって、社会が認めるものであって、ごく一部の集団が認めれば芸術だとはなりません。


 結びに。

 私は、公共機関のポスターに「出す場所をわきまえろ、」は甚だまっとうな意見だと思いますが、ゲームや映画、ドラマの内容で「偏るな、」は、図に乗るな、と言ってしまっていいと思います。

 ゲーム、映画、ドラマは、それ自体が丸ごとで『表現物』なのですから、権利云々を持ち込むフィールドではないんですからね。それこそ表現者への権利侵害です。


 公共機関のポスターは、ポスターという表現物である以前に、公共機関を示した衆人のものだから、ゲームや映画やドラマとは別物だと思いますよ。



 追加:

 「駅乃みちか」という女性キャラがネット上で大炎上しています。野次馬してたんですが、このキャラは下手をすると一般市民の堪忍袋を盛大に齧りとってしまう危険物だと感じさせます。このキャラをセーフとする意見の数々は、オタクでない市民の感情を揺さぶるでしょう。苛立たせますね。正論の中にも、火あぶりにしたい種類の正しさってのがあるもので、それですわな。数の暴力を呼び覚ます危険物だと直感しましたが、ネット上では気付いている人は居ないのでしょうかね。


 みちかさんのスカートが黒ベタ一色であればこんな炎上は起きなかっただろうにと思います。他のお色気コードはスルー出来るものでも、このスカートの、股部分の窪みは多くの一般人が気付いてしまう「露骨なわいせつ表現」です。これのせいで、気付かなかった他の部分まで引き立てられて一気に彼女をわいせつ物にしてしまったのでしょう。

 エロい男性絵でも、股間のもっこりを描けば途端にアウト度合いは跳ね上がりますよ。うん。ちち首と股間は男女とも性の象徴ですもん。PTAが来るような事態にならねばいいけどもね。問答無用機関PTAに睨まれたら明日は来ない。

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