リアルとリアリティ
続いては、リアルとリアリティについて。
あまり意識しないと思いますが、この二つの単語には、以下のような違いがあります。
・リアル【real】(名詞)……現実
・リアリティ【reality】(名詞)……現実性、現実味、現実のようであること
この二つは似て非なる単語です。
そして小説に必要なのは、リアルではなく、リアリティだと思います。
たとえば、リアルな小説を書くとしましょう。
主人公は常木らくだ。コミュ障だが何故か販売の仕事をしており、毎日のようにクレームで客から怒鳴られる。電車の中で泣きながら、23時過ぎに自宅へ帰宅。一人で寂しくコンビニ弁当を食べ、24時頃から小説を執筆するが、そのまま寝落ちして翌朝遅刻する。上司に怒られ始末書を提出、次回ボーナスは三割カット。以下、永遠に繰り返し。
どうでしょうか。
少しも面白くないですよね。
そもそも「リアル(現実)」は、すでに目の前にあるのですから、わざわざ小説で追体験する必要はありません。それに対して人気ラノベの主人公は、異世界へ転生して世界の危機を救い、美少女からモテモテの生活を送ります。現実とは真逆ですよね。そう、これは個人的な意見ですが、小説に「リアル(現実)」は不要だと思うのです。
ただし願望を好き勝手に書くだけでは、先の項で触れた通り、ご都合主義な作品になりかねません。
そこで必要なのが、「リアリティ(現実味)」だと思います。もちろんストーリーそのものはフィクションですが、そこに詰まった喜怒哀楽は本物でなければなりません。世界を救う爽快感、誰にも負けない圧倒的な特殊能力、異性からモテモテ状態になる快感……。何を追い求めるかは人それぞれですが、現実では決して得られない感覚を追体験したいからこそ、人は小説を読むのではないでしょうか。そして、その体験に説得力を持たせてくれるのが、「リアリティ(現実味)」だと感じるのです。
【結論】
・小説に必要なのは、「リアル(現実)」ではなく、「リアリティ(現実味)」の方だ!
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