ご都合主義の排除

 ご都合主義。

 ご都合的な展開。

 物語が作者の都合で動いている。


 評価シートでそう指摘されて落ち込んだ経験は、長らく小説投稿を続けていれば、誰しも一度や二度はあるのではないでしょうか。しかし改めて考えてみると、物語が作者の都合で動くのは、ある意味当然のような気がします。作者にとって不都合な物語の方が、むしろ根本的におかしいでしょう。

 それなら、何が問題なのか?

 自分なりに考えてみたのですが、ご都合主義と呼ばれてしまう小説には、何かしら描写できていない部分があるのだと思います。たとえばファンタジー物の作品で、それまで魔法の使えなかったキャラクターが、いきなり最強の呪文を習得してラスボスを撃破。仮にそんな小説があったら、どう見てもご都合主義ですよね。

「魔法を使えない設定はいったい……」

「これじゃラスボスに勝っても爽快感ゼロ……」

 おそらく読み手には、そのように思われてしまうでしょう。

 一方、そのキャラクターが魔法を習得できた理由が、作品の中でしっかりと描写できていれば、「生きたドラマが書けている」という評価になるはずです。

 たとえば、誰にも見られないように、夜中に猛特訓を続けていた……とか。

 仲間と旅をするうちに精神的に成長し、魔法に対するトラウマを克服した……とか。

 これはパッと考えた例なので、なんともベタすぎる内容ですが、そういう展開になったことに充分な説得力を持たせれば、「ご都合主義な作品」は「ドラマチックな作品」に生まれ変わると思います。


 というわけで。

 ご都合主義の烙印を押されてしまった場合、


・具体的にどの部分がご都合主義だったのか

・描写が足りなかった部分・省略してしまった部分は何なのか

・その部分を具体的にどう補えば、説得力が充分な作品になるのか


 ……等々を考えてみるといいと思います。

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