何を信じていいかわからない場合

 続いては、評価シートについて。

 以前は評価シートという制度がなかったため、新人賞で落選した場合、落ちた理由は想像するしかありませんでした。それに対して現在は、選評の送付を実施している賞が大半で、ない賞の方がむしろ珍しいような状況です。こちらが投稿した小説に、出版社が指導の言葉を書いて送ってくれるなんて、素敵な世の中になりました。


 とはいえ、評価シートが原因で悩んでしまうケースも、正直なところ結構あるのではないでしょうか。

 ブログにも散々書いておりますが、自分は某賞の評価シートに「おままごとレベル」と記載された経験があり、その際は深く心をえぐられました。読み手にそう思わせてしまうほど、話にならない稚拙な作品だったのだと思いますが、その言葉選びには疑問が残ります。すでに2年前の出来事ですが、今でも選評が届くとあの時の絶望が蘇り、読むのが怖いと思ってしまうトラウマから抜け出せません。

 そこまで極端ではないにせよ、選評に納得できずに苦しんだ経験は、小説投稿者なら一度くらいあるのではないでしょうか。

 そういう場合は、自分が信じた道を進めばいいと、個人的に思います。もちろんプロの意見は参考になりますし、評価シートから学んだ教訓は計り知れないほどですが、選評は唯一絶対の模範解答ではありません。それは、あくまで一意見です。送る賞、巡り合わせ、その時の流行、読み手との相性、投稿するタイミング……。どれか一つでも変わってくれば、賞の結果も違ってきますし、同じ評価シートは来ないでしょう。


 人から貰う感想も同様です。

 現在はインターネットが発達したため、周囲にリアルな投稿仲間がいなくても、いくらでも読み手を募集できるようになりました。感想は人によってバラバラなので、言われた意見をすべてそのまま取り入れると、支離滅裂な内容になりかねません。そういう場合、参考になる意見は取り入れて、そうでない意見はあえて取り入れない、取捨選択の作業が必要不可欠だと思います。

 せっかく貰った感想を無視する……と言うと言葉が悪いですが、その通りに改稿した結果もし仮に落選してしまっても、落ちた責任を相手が取ってくれるわけではありませんからね。

 役に立つありがたい部分も多いですが、評価シートにしろ感想にしろ、結果を被るのは結局すべて自分自身。だからこそ、何を信じて何を取り入れるかは、すべて自分自身で決めるのが賢明な選択だと感じています。

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