消せない嫉妬心に苦しんだ場合

 皆様は、周囲の小説投稿者さんに対して、嫉妬を感じた経験はあるでしょうか。

 第一章「投稿ブログとの出会い」で書いた通り、自分には応援している先輩投稿者さんがいましたが、その人に嫉妬してしまった経験は何度もあります。特にその方が最終選考に残った際は、心の底から受賞して欲しい反面、落ちて欲しい気持ちも混在しました。もちろん尊敬する投稿者さんですし、基本的には全力で応援していましたが、だからこそ遠くへ行って欲しくなかったのです。結果、その投稿者さんは落選しました。

 この例ほど極端ではないものの、自分が落ちた賞で知り合いが通過していると、モヤッとしてしまう気持ちは多少あります。表面的には通過を祝いながら、心の底で相手を呪ってしまう醜い自分に、正直言って嫌気が差す瞬間も。ダメだダメだと思っても、嫉妬心は簡単には消せないもので、そんな時は激しい自己嫌悪が襲ってきます。これも落選の苦しみの一つですね。


 ところで、嫉妬心の正体は何なのでしょうか。

 たとえば自分は歌が下手ですが、歌の上手な人に嫉妬した経験は、人生で一度たりともありません。もちろん羨ましいとは思いますし、憧れや尊敬の念はありますが、そこに呪いの感情は存在しないのです。カラオケで28点が出ても、トラウマになるどころか、笑い話で終わらせました。絵に関してもそうです。素敵なイラストを見たら、純粋にいいなと感じるだけで、絵師さんに嫉妬はしません。自分自身に絵を描く能力がないからです。

 一方小説に関しては、日常のささいな出来事に、いちいち嫉妬する始末。買ってきた本が面白くないと、「なんでこの程度でデビューできたんだろう」「このレベルで受賞なんてずいぶん運のいい作家様だな」と、強烈なジェラシーを感じます。ひどく身の程知らずな投稿者ですが、そういう毎日は何より自分自身が苦しくて、決して快適なものではありません。


 結局のところ、周囲の人々に嫉妬を感じてしまうのは、成功したい願望が強すぎるせいではないでしょうか。

 前の項でも書きましたが、最初から期待していない事物に対して、人は嫉妬を感じません。自分もそうなりたい、けれどなれない状況があるからこそ、成功者を妬んでしまう。それは人間として正常な心理だと思います。

 そういうわけで、嫉妬で胸が苦しくなった時は、「これは正常な心理なんだ」「それだけ本気な証拠なんだ」と言い聞かせることに決めました。そう考えても嫉妬心は簡単に消えませんが、苦しんでいる自分を否定せずに肯定すると、なんだか少しだけラクになれるような気が。一人で悶々とするよりは、自分は未熟だから嫉妬しても仕方ないと開き直った方が、むしろ心身ともに健康的に過ごせるのかもしれないな……などと考えている最近です。

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