ショックから立ち直れない場合

 突然ですが、常木らくだは致命的な音痴です。

 どのくらい音痴かというと、カラオケで得意な曲を大熱唱した結果、28点を獲得したという経歴の持ち主。28点ですよ、28点。これが期末テストなら赤点で追試決定です。

 周囲の反応はというと、みんな困惑していました。90点台で争っている最中に、いきなり28点が登場したら、そりゃ反応にも困るでしょう。結果として、私が歌う時は採点機能をオフにするという、なんとも微妙な救済措置(?)が取られました。いや、おかしな空気を作ってしまい、あの時は本当に申しわけなかったです。

 ちなみにこの一件ですが、さほどショックではない……どころか、絶好のネタをゲットして内心ほくそ笑みました。得意な曲で28点だったとか、最高に面白いじゃないですか! なにしろ自分の一番の趣味は、自虐で笑いを取ることです。え、ドM人間? 違います、サービス精神旺盛なエンターテイナーと呼んでください。


 さて、ここから真面目な話。

 どうしてこの経験に落ち込まないかというと、理由は実に単純明快で、自分が音痴だと充分に自覚しているからです。そもそも歌の世界は門外漢。それゆえ低い点数も気にならない、というか、正直どうでもいいと思っています。執着がないのです。

 それに対して小説投稿は、悪い評価がつけば落ち込むし、ショックで夜も眠れません。落選してしまった賞を逆恨みし、「あのレーベルの本は面白くない」なんて悪態をついても、ますます自己嫌悪が募るばかり。気持ちは常にイライラし、まさしく負の連鎖状態です。


 そう、お気付きでしょうか。

 実を言うと、ショックの大きさは、そのまま期待の大きさに比例します。カラオケの一件は、そもそも期待がゼロだったので、そこから受けるショックもゼロでした。それに対して小説投稿は、真剣に取り組んでいて期待が非常に大きいからこそ、うまくいかなかった時のショックも一段と大きいのです。

 というわけで、落選でショックを受けている投稿者さんへ。

 自分自身も苦しんでいる身ではありますが、心を込めて次の言葉を捧げたいと思います。

「そのショックの大きさは、あなたが小説投稿に対して誰より真剣で、心の底から真面目に取り組んでいる証拠なんだよ!」

 どうでしょうか?

 ショックな気分から抜け出そうとするのではなく、そう考えて落ち込んでいる自分自身を肯定すると、ほんのちょっとだけ心が軽くなる気がしませんか?

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